獣医師広報板ニュース

動物の愛護掲示板過去発言No.6000-200803-22

Re:Re:Re:私は
投稿日 2008年3月25日(火)11時50分 投稿者 プロキオン

動物実験に反対している団体が使用しているパネル写真についてですが、「足をハンマーで破砕された犬」「バーナーで焼かれた犬」とか「眼球を摘出された猫」「頭蓋骨を外された猿」というような写真がおなじみですね。チワワさんが目にされたものもこれらの一部のように思います。
写真があるのですから、このような虐待行為があったことは事実なのでしょう。私もそれは否定しません。ですが、キャプションまでは信用していません。写真は、事実を写しますが、それが真実であるかまでは保証されていません。撮影した者もしくは発表した者の意図が介在するからです。特定の意図をもって世に出されたものであれば、なおのことです。現在、流布されているものは、すでにかなり歪んだ用いられかたをしているようです。
これらの写真は、Hans Rueschさんの著書に由来しているのではないでしょうか?

「罪なきものの虐殺(2002年)」の原版は、Slaughter of the Innocent (1978年)であり、「現代の蛮行(1989年:2001年改訂版)」の原版は、 Vivisection is Scientific Fraud(1979年)となるそうです。

1960年代〜1970年代にこれらは、世に出たわけなのですが、今から30〜40年前の海外のわが国でもつかいまわされているわけです。なぜ、日本において海外での出来事を当事者でない日本の製薬メーカーや化粧品メーカーを相手に使用する必要があるのでしょうか?
逆に言うと、日本ではそのような実験が実施されていることを愛護団体が証明できないということになります。借り物の「キャプションつき写真」をもって各々の関係メーカーに対して圧力をかけていることになります。私は、そのような活動を評価できません。
現在の日本、日本だけでなく海外でも、動物実験にかかわるガイドラインがあって、虐待に類する行為は実施が認められておりません。ガイドラインや実験を行う者を信用しないのも活動家の自由でしょう。けれども、根拠の無い中傷はよくありません。
動物実験反対の活動が次第に目的が変貌していったことについては、上記の本の著者自身が気にかけていたことです。(これも別の方に教えていただいたことです)
団体が大きくなれば、活動するための活動に目的が摩り替わっていかざるを得ません。本来の目的ではなく、団体が存続するための活動になってしまうのです。動物にかかわる団体では、それが特に顕著です。

わかりやすく例をあげると、捕鯨の問題があります。野生動物の狩猟と同じことになりますが、海外からはイノシシ・熊・鹿の狩猟は問題とはされません。鯨であるから、反対活動にお金が集まりますし、賛同も広く得ることができます。危険な行為や無法な行為をすればするほど、その団体は称賛されます。彼らは活動のために「鯨」を選んでいるだけです。すでに本来の目的からは逸脱してしまっています。
そのような反対があろうがなかろうが、私は個人的にはもう鯨を取らなくてもよいだろうと考えています。鯨の肉がなくても困らないし、鯨もまた水産資源だからです。捕鯨はに本の文化であるという意見もありますが、日本にあったのは沿岸に寄り付く個体の捕鯨であって、それでまかなわれてきたのが実際です。南氷洋まで出かけていくのは、伝統文化としての捕鯨からは逸脱しています。
そのように考えている私であっても、昨今の海外の鯨愛護活動団体のやっていることには、腹に据えかねています。
あの団体の活動がない方が「本当に日本に捕鯨が必要なのか?」という議論ができるように思います。捕鯨自体は、水産庁の所管であって、環境省は蚊帳の外になっています。水産庁とその外郭団体の援助がなければ、民間の捕鯨は維持できないのが本当のところなのです。維持できないというよりは、外郭団体からの委託事業というのが本当の姿でしょう。ひどく採算ベースにのらない事業ですから、あのような悪質な妨害行為がなければ、やがて静かに撤退していくことになるはずなのです。
その静かな幕引きを邪魔しているのが、「捕鯨反対運動の活動家達」ですね。自らの存続ための反対にしか見えません。

動物実験反対のための運動というのも、本質的に同じものと私には見えます。チワワさんが目にされた虐待行為を受けた動物達のその後はどうなっていますか?
愛護団体であれば、まず虐待行為からの救出・保護が最優先されることですよね。原状に復すことができなくても、その後を守ってあげることですよね。実験に供された動物達がそれらの団体に保護され飼育されているケースがありますか? 1例2例の特殊なケースを除いて、そのようケースが日常的にあるのでしょうか?
各家庭で不用となった犬達を管理センターに持ち込んで処分することについて、持ち込んだ元飼い主には何もいわず、文句の言いやすいセンター職員を口撃するのと同じです。動物実験の基づいて生産された食品を食べ、動物実験のおかげで水道の水を安心して飲んでいる、動物実験の結果大丈夫そうだとなった家に住んで服を着ている。そういう恩恵を享受している者達が、実際に実験を行っている者達を咎め、自らの罪から目をそらして口をつむぐ。
医療の面でも言うまでもないことですが、天然痘を我が子を使った実験で克服してみせたジェンナーでも、やはり動物実験でやっていますよ。だからこそ、我が子に施すことができたのです。(良性の天然痘で免疫が成立するらしいということ自体が、ジプシーの民間療法にあったという説もありますが。)

動物実験をなくそうというお題目そのものは、すばらしいものです。それには誰しも反対しません。たしかにそうできれば、それが一番よいのです。
しかし、人間という動物の社会生活がそれを許しません。すでに企業の営利活動の範囲を超えてしまっている段階まで、すなわち社会生活の段階まで浸透してしまっているからです。社会生活を根底から覆すことはできかねます。
自らの罪を自覚していない者が、他の人間の罪を悪し様に言う行為は不遜で傲慢です。おろかな行為です。非難することではなく、本当にやるべきことを捜せと言いたいのです。

動物実験の現場に入れというのは、動物実験を実施する側にまわることです。矛盾したことに思えるかも知れませんが、実験に使用される動物の数を減らしたり、大切に扱うといのには、もっとも確実な方法です。最も当てになる監視者なのです。
つまり、これはワクチンのようなものですね。一旦、体内に入ってしまって免疫抗体をつくるようになると、病原体であったはずのものが、宿主をまもる働きになります。
虐待と見まがうような実験が企画されたとして、実施する担当者がNoと言えば、実施できません。別の者に命じてもその別の者も拒否したらどうでしょう。実施担当者のみなみなが良心的な拒否をすれば、実験はできません。企業が担当者達を解雇しようとしても、逆に世間の耳目を集めるだけでかえって不利な結果に終わります。そのような良心をもった研究者が1人でも多い方がよいでしょう。それは理解していただけますよね。
# これは話のたとえであって、今、実験に携わっている人達が良心をもっていないということでもなく、虐待まがいの実験が実施されているという意味でもありません。
現行の動物実験を疑うのであれば、良心をもった監視者になるのが確実だということをいっているだけです。

## 写真は事実を写すが、真実を写しているわけではないというのは、ある写真家が著書の中で述べていた言葉です。ある女性演歌歌手と結婚されていたことがある写真家です。著書の中で写真が嘘をつくことがあるということを写真で実験してみせてくれています。



◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。