動物の愛護掲示板過去発言No.6000-200812-31
「どうぶつのお墓をなぜつくるか」 |
投稿日 2008年4月10日(木)01時41分 投稿者 ちゅんちき
私はこの本を読みましたが、ボリュームは少ないながら興味深い内容でした。実験動物のための碑から食用に供された動物の供養塔、自然災害によって命を立たれた動物のための塚、伝説上の動物の塚など、縄文の昔から現在に至るまでに建てられた動物の供養塔やお墓の数々が紹介されています。 その中で特に印象深かったのが、癌の研究で有名な吉田富三博士のお墓の隣にある石碑(シロネズミの碑)に刻まれた言葉です。 「アゾ色素肝癌、吉田肉腫、腹水肝癌などの研究に手にかけてその命を絶ちたるシロネズミの数知れず、不有会員はみな心の奥にシロネズミのあの赤い眼の色を抱く。モルモット、ウサギ、ハツカネズミそのほか鳥の類まで手にかけたる命への思ひは同じ。ふと現はれてまた消え行きたるこれらの物言はぬ生類の幻の命も命に変わりあるべしとは思へず、あれは生ある者の命よと念じて此碑を建つ」(不有会とは博士のお弟子さんの会だそうです) 私も実感としてすごくあるのです。無数の赤い眼の白いモルモットやウサギたち、ビーグル犬の存在を自分の中に感じるのです。彼らの命によって報酬を得ているのですから、当然といえば当然ですが。 欧米に実験動物の慰霊碑がないというのは意外ですが、キリスト教では碑を建てるということが偶像礼拝と見なされているからで、ペットのお墓も宗教とはまったく切り離されているそうです。一方で、日本人は古来より身近な家畜を家族の一員のように扱い、野生動物とも適度な距離を保って共生してきたことが、動物塚建立の背景にあるのではないかということです。 私の職場にも慰霊塔があって、年1回、動物慰霊祭が行われます。仏教徒ではないので意味はよく分からないのですが、「人類のために命を捧げし畜類の霊に・・・」というお坊さんがあげられるお経の一節にいつも涙がこぼれそうになります。解剖の後にお線香をあげている病理部の人もよく見かけます。敷地の一番外れに慰霊塔があるのですが(こういうところに会社の姿勢が現れますね)、解剖後の動物の焼却や浄化槽の管理をされている嘱託のおじさんたちが時間を見つけては、近くから竹を切り出して柵をこしらえたり砂利を敷いたりしていつもこぎれいにしてくださっています。結局は、現場の人の心なのですね。「ありがとう」の感謝の思いを皆それぞれに表わしていく、それが大事なんだと思います。 話がそれてしまいましたが、この本は著者の研究室に「動物実験はしたくない」という女子学生がいたことから、実験の代わりにとまとめた論文がきっかけなのだそうですよ。
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