動物看護師掲示板過去発言No.7000-200409-2
RE:毎日ユウウツです! |
投稿日 2004年5月2日(日)03時49分 投稿者 わたらい
こんにちは。 僕は経営をやっている方の立場なのでちょっとアレかもしれませんが、思うところを少し。 >ちなみに受付をちゃんとできる様になるには大体どれくらいかかるんでしょうか? 早い人で3週間(大ざっぱに1ヶ月)。そばで見ていて本人はどう思っているかは判りませんが、とりあえず現場を任せて良さそうな雰囲気の人はそれくらいです。 これは学校を出ているかどうかという話ではなく、本人の飲み込みの良さとか社会性の話。 受付は病院の看板のようなモノですが「看板娘」になれそうな人であれば誰でも良く、そうでなければどんな人でも渋面を作ってしまいます。 失敗してもソレはソレで回っていく雰囲気があればソレでよい・・・ということです。 じっさいに「つかえる!」方というのは、雇って一月も過ぎたころには文句を言うところが無くなってきます。 もちろん仕事だって忘れるしミスもあります。 ただ、それでも仕事が円滑に回っていくのだから「使えて」しまっていくわけです。 普通の方であれば3ヶ月、遅くとも1年を経過した後には「つかえる」状態になっていなければいけません・・・と言っておきます。 仕事を「完璧」にこなせるという意味ではなく、失敗してもソレはソレで事が円滑に流れていく・・・という意味です。 知識というのは覚えた端から忘れていくモノですし、技術自体も日進月歩、1年前と同じ事を翌年もやっているとは限りません。 新しい事をやろうとすればするほどボロは出ます。 完璧な知識と技術があるなら、大学や専門学校の先生にでもなって大勢の生徒に色々なことを教える側に回ればいいと思うし、現場で働いている人達で、そういう完璧さを持った人は非常に少ないはずです。 結果として病院に残った人達というのは、そういう方が多いように思うのですが・・・ 「『とりあえず』出来ることをそこそこにこなしてスキル(技)を増やしていく」 コレが基本(普通)でしょう。 ダメな場合。 さて、各動物病院の新人教育に対する考えはつまるところ院長の人となりであると思われますが・・・ 「温情派」と呼べる先生であれば、コレは相当に能力が低く職場における歯車に噛んだ「石」的な存在であるスタッフであってもちょっとやそっとのことではクビにせず3年以上の長期に渡って給料を「投げて」いく事を容認していることもあるでしょう。 「能力重視」あるいは「短気な先生」であれば、一定以上仕事についてくることが出来ない、歯車に噛んだ石のような存在である新人スタッフ・・・もちろん最初はみんなそうなのですが・・・を、いつまで「我慢」出来るのかという話になります。 1週間、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年・・・よく聞く話であればこれくらいを「節目」にして「ホッと胸をなで下ろす」か「見切りを付けてしまう」ようですね。 我慢している間に何とかなっていけばソレで良く・・・「人を切り捨てる」事の出来る院長であれば解雇するのでしょう。 理由も簡単。 安月給ではありますがVTの月給が15万円くらい。 6ヶ月で辞めて(辞めさせて)しまえば、90万円を「全く役に立たなかった」ニンゲンのためにドブに捨てた勘定になります。 心電計が新品で1台買えます。 人工呼吸器でも良いでしょう。 1年であれば新品の血液検査の機械がフル装備で買えるだけのお金です。 内視鏡や超音波診断装置だって新品で買えます。 「無駄なこと」にお金を使ったとしたら、そういう後悔が「どうしても」出てきます。 言い換えれば、それ以上の働きがあると思うからこそ人を雇っているわけです。 >私の中では最初は雑用だけをやり専門的な事は序々にユックリ覚えていきたかったのですが どんな仕事でもそうではないかと思うのですが、まず「しごと」という形が先にあって少しでもそれに近いニンゲンを選んでいこうとする考え方と、そのニンゲンの良いところを少しでも延ばしていきその能力の中で何とかモノにしていこうとする・・・そういう考え方があります。 前者の場合、その仕事は一部の人達のモノになってしまいます。 後者の場合、誰でもその仕事をやれる可能性がありますが最終的にどんなモノになるか判りませんね? もちろん、楽しくて安心できるのは後者。 しかし、動物病院のような職場であれば、そこにはやらなければイケナイ「医療」の形が最初から決まっている場合があると思います。 その「医療」のレベルに少しでもニンゲンの方を近づけて行かなければならないのだとしたら、特にそのレベルが最初から高いところにある病院なら、ソレは一部の天才的な人々だけを選んでいくやり方であるといえます。 もちろん、そんな人は殆どいません。 ではどうするのか? 「努力」で何とかソレを形にしていこうとする人を欲しがります。 凡人が天才に近づくならソレしかありません。 重大な責任のかかってくるお話である場合も多くなりますから、「すさまじい努力」が必要になることもあるでしょうし、相当必死にがむしゃらにやっていればまわりに目がいかない場合も多いように思います。 そういう中で残った人達というのは自然とキツク、責任感の強さから小さな事にもピリピリとしてしまうことも多いように思います。 全員がというわけではなくても、そういう人とよく会うのも本当です。 実際にはどれほどの努力をしても完璧にはほど遠く、当の本人が薄氷の上を歩いているような気分で仕事をしてるわけですから当然ですね。 貫禄が出るにはその仕事を10年はやらないとイケナイかなあと思いますが、VTを10年やっている方は非常に少数です。 有り体に言ってしまえば、専門的なことを序々にユックリ覚えている暇はありません。 これは獣医師も同じ。 難しいことも簡単なことも毎日洪水の様に押し寄せてくる中で、覚えたことを使って「そこそこ」の仕事をこなしていくことが大事なのであって、専門的な事を序々にユックリ覚え終わった3年後を待てる・・・という事はかなり厳しいように思います。 先ほど例に出した「温情派」の院長先生の病院であっても、スタッフの皆がそうとは限りません。 「とりあえず」がこなせないでいれば周囲からツブされる、追い出される・・・というケースも出てしまいます。 就職の面接という事で大勢の方に会う機会があり、実際に1週間程度試験的に病院で働いてもらうこともしています。 メガネにかなった方というのは20人に1人いるかいないかくらいの遭遇頻度ですから、いつも納得のいくVTを雇うことが出来るというわけではありません。 というか、普通にやっていたら雇った人の大半は「使えるかどうかもわからない人」です。 ソコにいるのは凡人の群れ、やらなければイケナイ仕事が常に一段高いところにあるのなら、後から来た者ほど必要以上の努力をしないとイケナイのは当然です。 簡単な病気、難しい病気どちらもそつなく「とりあえず」の事はしなければいけません。 何しろ「次がない」仕事なのですから。 >でも簡単に辞めたくはないし...何か打開策はないものでしょうか? 「『とりあえず』出来る所からそこそこにこなしてスキル(技)を増やしていく」 これが基本。 周囲のスタッフがどの程度の仕事(技術)を要求しているのか判りませんが、毎日一つは何かが出来るようになったことをアピールしていくこと。 別にお茶くみの類でも構わないと思いますが、「今日は(周囲がしている)コレが出来るようになっている」という事を見せていくと、回りはあなたを認めます。 一方で、「失敗しそうだ」「やっぱり失敗した」という所を周りに見せないこと。 練習は別(たくさんやる事)。 「本番」で、失敗すると(周囲が)困るところでは失敗しないこと。 (例えば、保定をするなら難しいと思ったら絶対に一人でやらない) (受付は、自分でやるにしても先輩のいないところではやらない) (テキパキと動かなければいけない所では邪魔にならない;一緒に仕事をする) 成長が無く失敗ばかりしていたら当然のように周りは苛立ちますし(以前にも増した仕事量)、一人増えた事で仕事が楽になったと感じれば誰もあなたを責めたりはしません。 負担が減れば(そのころには)・・・状況は改善するのではないでしょうか? |
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