動物看護師掲示板過去発言No.7000-200706-10
Re:スメア検査について |
投稿日 2007年1月25日(木)12時16分 投稿者 プロキオン
のだめさんは、「意見交換」の方の犬の排卵日の投稿でも目にされたのかな? 通常、推奨されている染色方法は、メイーグリュンワルドーギムザ染色、パパニコロー染色、あるいはショール染色ということになると思います。 中でも獣医学系の本に載っているのは、パパニコローが多いのではないかな。これは、この染色がきわめて繊細な結果が得られるからです。 しかし、当然のようにそのための条件があって、基礎的なことを承知していないとなりません。それは、塗抹と固定の染色よりも前の段階です。細胞を壊さないということや、固定や染色の過程でも標本を乾燥させてしまわないというような手技にあります。これを怠ると細胞内の繊細な所見は得られません。染色液も固定液も常に新鮮で能力を保持していることが大切です。 パパニコローには、さまざまな変法や改良法が存在していて、どれをということかなりまよってしまいますので、とりあえず原法を記載します。 1、エーテルアルコール固定 2、80%アルコール(5〜10回出没:液から出したり入れたりして洗うことです。) 3、70%アルコール(同上) 4、50%アルコール(同上) 5、蒸留水 (同上) 6、ハリスのヘマトキシリン(6分間染色) 7、蒸留水 (余分なヘマトキシリンを洗い落とす) 8、0,25%塩酸水(約6分くらい脱色させる) 9、流水 (洗浄) 10、蒸留水 (5〜10回出没) 11、50%アルコール(同上) 12、70%アルコール(同上) 13、80%アルコール(同上) 14、95%アルコール(同上) 15、OrangeG6染色 (1分30秒ほど) 16、95%アルコール(余分なOrangeG6を落とす) 17、95%アルコール(5〜10回出没) 18、EA-36 またはEA-50で染色(1分30秒ほど) 19、95%アルコール(余分なEAを洗い落とす) 20、95%アルコール(5〜10回出没) 21、95%アルコール(同上) 22、100%アルコール(同上) 23、100%アルコール・キシロール等量液(数回出没) 24、キシロール (充分に透徹する) 25、封入 EAというのは、エオジンY、ビスマルクブラウン、ライトクリーンSFというような色素が混合された染色液のことです。 また、19〜21の95%アルコールの過程は、標本や液を汚さないための過程であって重複ミスではありません。 メイーグリュンワルドーギムザ染色は、ディフクィックとしてセットで市販されていますから、こちらでやってみようかという方が簡便かもしれません。 いずれの染色においても、染色は染色であって、標本中の細胞を読む力が本来は必要です。最初はとにかく染色して顕微鏡を覗くということが大切です。これを続けているうちに細胞が急に見えて(読める)くるようになります。そうすると、また染色の技術も上がってきます。 染める見るの繰り返しことが上達への道です。
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