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獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん小動物臨床における麻酔死の確立
2018年12月14日:ムクムク(川村幸治)
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昨日、短頭種の犬の手術の死亡についてのニュースがあった。 長与千種さんの愛犬が手術中に死亡 「二度と医術に携わるな」と激怒
片側だけの意見で判断はつかないですが、私は、麻酔のリスクについて考えてみる。 リンク先は、犬の麻酔についてのリスクを説明するページである。 【獣医師執筆】犬の麻酔のリスクと必要なシーンは?全身麻酔の副作用などを解説
犬と猫の麻酔関連死亡率は0.05〜0.3%とされている。
0.1%が1000頭に1回であるから、0.3%はその3倍の確率。
0.01%は10000頭に1回であるから、0.05%はその5倍の確率となる。
麻酔関連死は、一般の人が思っているより高いかもしれない。
また、このページにも書かれているが、トイ犬種特に短頭種は難易度が上がる。
危険を説明した場合の飼い主さんの反応であるが、2タイプある。
私は、手術前に必ず数字をあげて説明している。
多数の人は、分かりましたとおっしゃり、危険に対する説明を受けたとする書類にサインをされる。
でも、一部の人は非常に動揺される。
手術で死ぬことなど想像もされていなかったようである。
で、手術をやめる人と、困惑しながらもさらなる説明を受けて納得される人もいる。
正直、この説明は大変である。
でも、人の民事裁判である判決がある。
やはり麻酔関連死であるが、医師の敗訴判決であった。
判決で裁判官は麻酔関連死のあることは認めたが、そのことを事前に説明していなかったことを理由に医師に賠償を命じたのである。
つまり、説明責任が問われたわけである。
メジャーリーグのダルビッシュ投手が肘の手術を受けることになり、病院の事前診察を終えて記者のインタビューに答えた第一声が、「麻酔が怖い」であった。
おそらく、麻酔関連死に関する数字をあげた説明を受けたのであろう。
今のアメリカでは、説明無く手術したら、それだけでも訴訟の対象になりかねない。
説明があれば、手術を受けないという選択もある。
元発言(facebook) いいね:139人,コメント:10件,シェア:2件(クリック)
昨日は麻酔関連死について書いたところ、多くのいいねやコメントありがとうございます。
今日は飼い猫でない猫の手術の死亡率について書かせていただきます。
ある自然豊かな離島の猫のシンポジウムに出席したことがあります。
その島の猫をキャッチして、避妊・去勢手術をして、本土で人になれさせて、譲渡先を見つけるプロジェクトの紹介で、避妊・去勢手術の死亡率が2%だと聞きました。
参加者のほとんどは町の小動物臨床獣医師なので、驚きの声が会場に響いたのですが、特に質問や説明はなく、その話は終わりました。
後で自分なりに考えてみました。
自然の中で暮らしている猫ですから、若い猫もいれば老齢猫もいる。
つまり、健康そのものの猫もいれば、餌を捕食するのがやっとの猫もいる。
これを全て捕獲して麻酔をかければ、2%の死亡率はあるのかもしれないと自分なりに納得しました。
その後、町の猫保護家の方にこの話をしました。
2%の死亡率に別に驚く様子もなく、TNRもその方が関わる分はそんなものかなーとおっしゃっていました。
私もたのまれてTNRの手術を担当することがありますが、死亡は経験無いので、たまたま条件のいい猫を受け入れてきたのかなーと思った次第です。

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