アリスのままで           |  
  
2014年 アメリカ (STILL ALICE) 
    
  
<監督>	リチャード・グラツァー	,  ワッシュ・ウェストモアランド 
<キャスト>
ジュリアン・ムーア	,  アレック・ボールドウィン	,  クリステン・スチュワート	,  ケイト・ボスワース	
  
<ストーリー> 
50歳の大学教授のアリス(ジュリアン・ムーア)は、物忘れが頻繁に起こることを不審に思い、医師の診察を受け、若年性アルツハイマーであると宣告される・・・。
  
<感想> 
有名な言語学者である大学教授が、ある日、若年性アルツハイマー病であることを宣告されてしまいます。
  
物忘れが急にひどくなっても、年のせいだからと、診察を先延ばしにしてしまいそうですが、理性的な彼女は、自分の症状を的確に把握して、きちんと診断を受けます。
まず、そこがすごいところですね。 
でもその診断結果を聞く時の恐しさたるや、どれほどのものだったことでしょう。 
理知的であればあるほど、その事実を受け入れることは、恐ろしかったに違いありません。 
これほど医学が進んでも、根本治療はもとより、病気の進行を止めることさえ出来ない病気です。 
さらに恐ろしかったのは、これが遺伝性であったこと。 
子供に遺伝する確率は、2分の1。 
そして、陽性であった場合の発症の確率は、100%だそうです。 
彼女は、自分のことだけでなく、子供や、孫のことまでも心配しなければなりませんでした。
  
映画は、病気の進行とともに、自分が自分でなくなってゆくことへの恐怖と葛藤、家族や周囲の様子が、静かに描かれています。 
もっと壮絶に描写することも出来たでしょうが、それをせずに、心に深く浸みる映画になっていました。 
記憶とは、その人のアイデンティティそのもので、それを失ってしまうことの悲しさがずっしりとした重みとして感じられました。
  
主演のジュリアン・ムーアは、初めてのアカデミー主演女優賞を獲得しました。 
はつらつと働く女性から、心の中がうつろになってしまった女性への変化が悲しくも、素晴らしかったです。(2016,11,23)
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