銀幕のメモワール |
2001年 フランス ロマンス・戦争
<監督>ピエール・グランブラ
<キャスト>ブノワ・マジメル , ジャンヌ・モロー , マリオン・コティヤール , サガモア・ステヴナン
<ストーリー>
25歳の映画監督サム(ブノワ・マジメル)は、第二次世界大戦前に活躍した銀幕スター、シルヴァン(サガモア・ステヴナン)の生涯をドキュメンタリーとして制作するために、彼の過去を調べていた。そしてリザ(ジャンヌ・モロー、マリオン・コティヤール)という女性を探し当て、彼女から当時の二人の様子を聞くのだった・・・。
<感想>
年老いたリザが語る、戦時中のフランスにおける、映画俳優との、はかない恋物語です。
当時、結核療養所で治療を受けていたリザは、映画のロケ現場で出会った映画スター、シルヴァンと、瞬く間に恋に落ち、そして、まるで生き急ぐかのように、身体を合わせます。
この二人の性急さが、なかなか切ないのですよ〜〜(^^)。
若いけれど、将来の見えない結核患者であるリザ。当時の結核は、致死性の高い伝染病でもあったんですね。
戦争によって引き離された二人が再会してからも、死は、いつも二人の身近に潜んでいて、虎視眈々と登場の機会を狙っているかのようでした。
若きリザを演じるマリオン・コティヤールが、天真爛漫さと、気の強さを併せ持つリザを、けなげに演じていてとってもよかったです。彼女は、「TAXi」シリーズの恋人役の女優さんです。
一方、現代の、年老いたリザを演じるのがジャンヌ・モロー。彼女の映画は、あまり見たことがないのですが、名前だけは知っている大女優です。彼女がシルヴァンとの思い出を、かつての療養所や、シルヴァンの家を訪ねながら映画監督であるサムに、語ります。
その間、現代と過去のリザがまるで重なるように現れては消えるのですが、物語は、それだけにとどまらず、リザとシルヴァンの恋をドキュメンタリーとして撮影する監督サムのルーツにまで迫ります。
サムのルーツとは、この映画の監督であるピエール・グランブラ自身がユダヤ人であるということに深く関わっていて、ナチスの行ったことによって、自分自身のルーツを失ってしまう悲しさを描いているのです。
感動的な映画でしたが、シルヴァンが、後世ドキュメンタリーが作られるほど偉大なスターのように描かれていなかったことや、サムの両親の話が、あっさりし過ぎていたことなど、映画として残念なところも、ありました。(2007,01,20)
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