告発のとき  |
２００７年 アメリカ 犯罪・ミステリー・スリラー 
＜監督＞ポール・ハギス
＜キャスト＞トミー・リー・ジョーンズ , シャーリーズ・セロン , スーザン・サランドン , ジェームズ・フランコ , ジョシュ・ブローリン , ジェイソン・パトリック , ジョナサン・タッカー
＜ストーリー＞
2004年11月1日、ハンク・ディアフィールド（トミー・リー・ジョーンズ）のもとに、イラクから帰還したばかりの息子マイク（ジョナサン・タッカー）が行方不明だという連絡が、軍から入る。元軍警察だったハンクは、急遽、息子が所属していたフォート・ラッドへと向かう。息子と同じ隊だった仲間に話を聞いても、息子の情報は得られなかったが、そんな時、息子が無惨な焼死体で発見される・・・。
＜感想＞
重い作品でした。
失踪したイラク帰還兵を、父親が捜すストーリーですが、途中からは、殺人事件に発展して、警察、軍を巻き込みながら、重たい現実を突きつけてきます。
せっかくイラクから無事に帰ってきたというのに、何故、失踪してしまったのか。彼とその仲間に、いったい何があったのか。自分たちの知っている息子と、まったく別人の息子の姿を映像の中に見て、愕然とする父親。
前半は、謎が謎を呼び、真実の追究に追われます。
出演者がすばらしい演技を見せてくれました。
父親役のトミー・リー・ジョーンズは、この演技で、オスカーノミネートされました。「ノーカントリー」でもすばらしい演技を見せてくれていましたが、やはり、彼は、凄いです。
心の内に秘めた怒りと悲しみを、顔のしわの中に刻みつけるかのようでした。
彼の妻役のスーザン・サランドンは、出番は少ないですが、息子を亡くした母親の深い悲しみがよく伝わってきて、思わず泣いてしまいました。二人の息子を二人とも戦争でなくしてしまうなんて、悲しすぎます(TT)。
そして、事件を扱う女性刑事役を地味なメイクで演じたのは、シャーリーズ・セロン。彼女もまた、これは、改心の演技でした。
美しい彼女が、美しくない女性を演じるのを見たのは、「モンスター」、「スタンドアップ」に続いて３作目ですが、私はこの映画の彼女が一番好きです。今までは、美しい人は、美しい役だけを演じればいいのに！と思っていたのですが、この映画の彼女は、シングルマザーで、セクハラ、パワハラの環境にいながらも決然と仕事をし、怒る時は怒り、時には、自分の力の至らなさを痛感したり、人間らしさを全面に感じさせる演技で、すばらしいです。
それにしても、人を人と思うなと教えられる戦争とは、なんて悲しくて、むごいものなのでしょう。理想に燃えていたであろう彼らが負った心の傷の深さに愕然としてしまいました。(2008,07,02)
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