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こわれゆく女      


1974年 アメリカ 

<監督>ジョン・カサヴェテス
<キャスト>ジーナ・ローランズ , ピーター・フォーク

<ストーリー>
水道工事員のニック(ピーター・フォーク)は、妻メイベル(ジーナ・ローランズ)との約束の夜、突発的な水道管のトラブルで、どうしても帰れなくなってしまう。精神的に不安定な妻メイベルのことを心配しつつ、仕事を終えて、仲間とともに帰宅すると、案の定、彼女は、感情の高ぶりを押さえられなくなっていた・・・。

<感想>
ジーナ・ローランズの迫真の演技に圧倒されました。顔の表情から指先まで、神経の行き届いた演技を見せてくれます。
まさに題名通り「こわれゆく女」そのものでした。

普通にしていようとすればするほど、そして、ニックを愛しているからこそ、奇異な行動に出てしまうメイベルは、かわいそうでした。自分では、自分の感情を、どうにも押さえ切れないんでしょうねーー。
このような症状は、医学的には、何というのでしょうか。今は、いい薬が開発されているのかしら。

そんな状態の彼女にも、夫のニックが、深い愛情を持っているのは、とても感じられました。
ただ、彼の態度にも、問題は大ありです。不必要に、怒鳴りつけたり、彼女の状態が不安定なのに、大勢の人を呼んできたり、彼の行動も、少々不可解です(^^;。
彼女の精神状態を心配して、電話をかける彼の姿、口調は、ものすごく愛情を感じるだけに、こういう態度は、とても残念でした。きっと彼自身も、彼女にどう対応していいのか、迷うところがあったんでしょうね。
夫のニックを演じたピーター・フォークは、泥臭く、男臭い夫を好演しています。荒々しい中にも、妻への愛情をひしひしと感じてしまいました。

映画はメイベルが、狂気の淵に落ちてゆく様子とともに、夫のニックの仕事風景や、彼の苦悩の心理描写もじっくりと描いていますが、これにはあまり説明がなく、淡々と描かれています。

とうとう入院治療になった彼女は、結局なんと、半年も入院していました。でも、半年も入院していた割には、退院した時、あまりよくなっていないように見えたのは、かわいそうでした。病院での治療も、電気ショック療法だったようだし、この頃の精神疾患に対する治療法は、まだまだ発展途上だったのかもしれません。

ラストは、まだまだ波乱が起きることも予想させながらも、一時のやすらぎを得た夫婦の、うれしさを感じさせる終わり方でした。 (2007,09,13)



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