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クレールの刺繍      


2003年 フランス 

<監督>エレオノール・フォーシェ
<キャスト>ローラ・ネマルク , アリアンヌ・アスカリッド

<ストーリー>
17歳のクレール(ローラ・ネマルク)には、ある秘密があった。それは、望まない妊娠をしてしまったこと。相手は、結婚している男で、彼女の気持ちもすでに冷めていた。そんな彼女に、医者は、匿名出産を勧め、その後は、養子に出そうと考えていた。体の変化に、それまで勤めていたスーパーをやめざるを得なくなり、趣味で続けていた刺繍を生かした職を得るが・・・。

<感想>
17歳で妊娠してしまったクレールが、途方に暮れながらも、徐々に自分の進む道を見つけてゆく姿を描いた作品です。

大きくなり始めたおなかを気にして、スーパーの仕事を辞めざるを得なくなったクレールが、新しく見つけた仕事は、趣味で続けていた刺繍のお針子の仕事です。
面識のあった刺繍職人のメリキアン夫人は、一人息子を事故で失ったばかり。そんな夫人の元で、クレールは、黙々と仕事をします。

ここで出てくる刺繍は、小さい物は、ナプキンの刺繍から、大きな物は、ショーで使われるような1点もの。セレブがここ一番で着ているような豪華なドレスの刺繍などは、こういう小さな工房で、手作りされている物なのかもしれませんね〜〜。繊細な布に、ビーズや、スパンコールを一つ一つ丁寧に縫いつけてゆく仕事は、趣味としてするならば、楽しいでしょうけれど、期限を決められた仕事となると、それはそれは大変な仕事だと思います。でも、そうやって丹精込めて作り上げられた刺繍の美しいこと!!

映画は、台詞が少なく、登場人物の思いは、ちょっとした仕草やまなざしなどから想像するしかないのですが、細かい刺繍をこつこつと刺してゆきながら、徐々に、二人の女性の心が柔らかくなっていくような、そんな小さな時間の積み重ねと、二人の心の交流が、丁寧に描かれています。

若くして望まない妊娠をしてしまったクレールに、周囲の目は厳しいですが、行政は、行き届いたケアをしているようでした。
自分の望む病院で、匿名出産が出来、その後のケアも、しっかり出来ているようで、思い悩む少女たちのための、いい制度だと思いました。その分、男がふがいないと言うことかもしれません。クレールの相手の男も、どうしようもない無責任男でしたから。(2007,07,25)



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