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シ
シリアの花嫁
2004年 イスラエル・フランス・ドイツ (THE SYRIAN BRIDE)
<監督>
エラン・リクリス
<キャスト>
ヒアム・アッバス
,
マクラム・J・フーリ
<ストーリー>
1967年の第三次中東戦争でイスラエルに占領されたゴラン高原にある村、マジュダルシャムス。今日は、村の娘モナ(クララ・フーリ)の結婚式。しかし、モナとその姉、アマル(ヒアム・アッバス)の顔には、悲しさが漂っていた。それは、境界線を越えて嫁ぐモナは、二度と家族に会えなくなるからだった・・・。
<感想>
中東情勢に、からきし弱いので、映画に描かれている事情を理解するのが大変で、苦労しました。
でも、そんな私でも、見ているうちに、うっすらと、この状況
<*>
が見えてきます。
戦争によって、分断された国、そして人々。
会ったこともない人に嫁ぐ女性。
しかも、彼と結婚すると同時に、家族とは、永遠の別れとなる運命。
そんな事、想像できますか?
でも、そんな状況が実際にあったわけです。
それに加えて、父と息子の軋轢。
それもこれも、政治情勢によるもので、
血のつながった父と息子でも、まるで他人以上の壁が、両者の前に立ちはだかっていました。
救いは、無垢な子ども・・・。
弱い立場の女性の方が、より革新的に、道を切り開こうと努力しています。
花嫁の姉の強いこと!
でもそれも、いくつものつらい体験によって、培われたものであることが、悲しいです。
物語は、最後の最後まで気を抜くことが出来ませんでした。
いったいどのような結末に落ち着くのか。
悲劇かそれとも、ハッピーエンドか。
政治情勢から考えて、一見、のんびりとした状況であっても、最悪の事態もあり得るわけで、ハラハラしてしまいました。
結局は、道は自分で切り開いてゆかなければならないということなのですが、
その後の花嫁の運命が、映画が終わっても、気にかかりました。(2011,04,28)
<*>1967年の第三次中東戦争でシリアが分断され、ゴラン高原がイスラエル領となるが、
ゴラン高原の村の住人は、その後も、イスラエル国籍を拒否して、無国籍者となっていた。
そのため、村の住人と、シリア領にすむ人との行き来は出来ず、家族といえども、会うことも出来ない。
花嫁は、国境を越え、シリアへと嫁ぐため、シリア国籍となり、イスラエル領の村には、もう、戻ることが出来ないのです。