ザ・ロード          |  
  
2009年 アメリカ (THE ROAD) 
アドベンチャー・スリラー    
  
<監督>ジョン・ヒルコート 
<キャスト>
ヴィゴ・モーテンセン,  コディ・スミット=マクフィー,  ロバート・デュヴァル,  ガイ・ピアース,  シャーリーズ・セロン,  ギャレット・ディラハント 
  
<ストーリー> 
世界に終わりが訪れてから10年。父親(ヴィゴ・モーテンセン)は、子ども(コディ・スミット=マクフィー)の未来を信じて、少しでも暮らしやすそうな南へと向かう。しかし、途中、飢えによって、人を襲うグループにも遭遇し、彼らの旅は、困難を極めるのだった・・・。
  
<感想> 
現代アメリカ文学の巨匠、コーマック・マッカーシーの、ピュリッツァー賞受賞作の映画化です。 
そんな有名な原作なのに、私は、全く知りませんでした・・・(^^;。 
おまけに、同時期にデンゼル・ワシントン主演の似たような設定の映画「ザ・ウォーカー」も、公開されていて、少々地味な存在の映画となってしまいました。
  
映画の内容も、暗くて、重くて、色彩的にもとても地味。 
唯一華やかさがあるとしたら、シャーリーズ・セロンの存在でしょうか。 
その彼女も、くすんだ灰色の色彩の中に沈んでいました・・・。
  
映画は、まさに世界の終末の様子が描かれています。 
しかし、何が起こって、こんな事になってしまったのかは、一切描かれていません。 
起こってしまったことに対して、その原因に言及しても、もはや、意味がない・・・ということでしょうか。 
もう、やり直せないのですから・・・。
  
とにかく、世界が破滅してから10年。 
父親と共に、さすらう少年は、美しかった地球、豊かだった地球を見た事がありません。 
知っているのは、廃墟となった世界と、人間の屍だけ。 
それは、なんて、残酷なことでしょう。 
でも、そのことが、残酷だということさえ、彼には、分からないのです。 
なんてことでしょう!(T_T)
  
そんな息子を必死になって、生き延びさせようとする父親。 
どんなことがあっても、”善き人”として生き、息子を守ると、誓った彼。 
彼らの行く先々では、多くの困難が待ち構えていて、苦難の連続。 
しかし、ごくたまに、ホッとするようなこともあって・・・。
  
主演のヴィゴ・モーテンセンは、圧倒的な存在感です。 
・・・っていうか、あまり、人物が出てこないので、彼一人の演技に、この映画の成否がかかっていたのだと思います。 
でも、彼って、こういう、じっと堪え忍ぶ系の演技は、しびれるほどうまいんですよね〜。 
そして、時たま見せる笑顔が、これまた、優しくて、いいんです。
  
しかし、映画自体は、ただひたすら暗くて、辛いだけでした。 
ラストも、どうとらえていいのか・・・。 
もしかすると、これは、映画にするより、原作を読んだ方がいいのかもしれません。 
映像にすると、一目見ただけで分かってしまう状況でも、 
活字ならば、たくさんの文字で、じっくり描くことが出来ます。 
そうやって、ゆっくりと、頭に刻み込んでいった方が、この話は、合っているような気がしました。(2011,05,31)
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