接吻：シネマチェック：

接吻　　　

２００６年　日本　サスペンス・ロマンス

＜監督＞万田邦敏
＜キャスト＞小池栄子 , 豊川悦司 , 仲村トオル

＜ストーリー＞
OLの遠藤京子（小池栄子）は、友だちもなく、孤独な毎日を送っていた。そんなある日、無差別殺人の犯人、坂口秋生（豊川悦司）の逮捕の様子をTVで見た彼女は、彼に、自分と同じ匂いを感じて、それ以降、彼の裁判に通い詰め、彼への差し入れを繰り返すようになる・・・。

＜感想＞
起こった事件のわりには、とてもひっそりとした、淡々とした映画なのですが、緊張感がずっと持続する映画でした。

普通に生きていても、世間からいつも疎外されてしまう、もしくは、疎外感を感じてしまう人間・・・。いるかもしれませんねぇ・・・。

たいていの人は、友達を作って、それなりに、世間に溶け込んで、楽しい生活を送るのですが、その生活の中には、たまには、楽しくなくても楽しいフリをしたり、思ってもいない事を言ってみたり・・・、そんなこともあったりします。
でも、それが出来ない人も確かにいて、そうすると、いわゆる、”浮く”という事になってしまうのでしょうか。

この映画のヒロインは、そういう人だったのかもしれないですね。
そして、坂口秋生に出会い、やっと、心を許せる人に出会った喜びに顔を輝かせる・・・。

でも、そういう人でも、全てが全て、自分と一緒であるはずもなく・・・。

主要人物を演じている３人が、３人ともすばらしいです。
特に、ヒロインを演じる小池栄子はすごい。
「２０世紀少年」でも、怪演でしたが、本作を観ると、本当に彼女は、演技派なんだなぁと、見直しました。
いつも華やかな彼女が、地味なOLを演じてしまうのも見事だし、彼女の、世間に背を向ける生き方や、坂口の前で見せる無邪気で、心安らぐ様子、そして、終盤に見せる表情も、みんな鬼気迫っていて、すごいです。

また、豊川悦司も、とてもいいです。
彼の場合、外しているかな・・・(^^;、と思う作品もたまにあるのですが、今回は、ぴったりで、小池栄子の演技を余裕で受け止めているように見えました。(2010,01,22)