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ザ・ホエール |
2022年 アメリカ (THE WHALE)
<監督>ダーレン・アロノフスキー
<キャスト>
ブレンダン・フレイザー, セイディー・シンク, サマンサ・モートン
<ストーリー>
過食症の男チャーリー(ブレンダン・フレイザー)は、太り過ぎのため、生命の危機にあった。そんな彼の周りには、看護師のリズの他に、妻と離婚して以来疎遠になった娘や信仰を勧める男がやってくるが・・・。
<感想>
2022年のアカデミー賞で、主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。
極度の肥満の男と、周囲との人間関係、そして、彼がどうしてそこまで太ってしまったかを描く物語でした。登場人物はごくわずかです。
そして、描かれるのは、彼の部屋、それもほぼ一室だけで展開する物語です。元々舞台劇だったということで、それも納得です。
とはいえ、引きこもりの男の部屋の中の物語ということで、当然外の光はなく、薄暗がりの中で進行するストーリーなので、最初、画面が暗すぎて何が起こっているのか分かりにくかったです。
しばらくは、我慢してみていましたが、途中から諦めて、部屋のカーテンを閉め、明かりも消してやっと何が起こっているのか分かり、映画の中の世界に入り込むことが出来た次第です。
ストーリーは、彼と、彼を取り巻く人たちの心の中に潜む多くの問題が明るみになっていくので、見ているうちにどんどん心が暗くなってしまいました。
命の危険があるほど太っていても、それでも、食べずにいられない彼の心の暗闇が、切なく苦しいです。
こんなに太っていても、食欲だけは旺盛で、もりもりと異常を感じさせるように食べるので、こちらは何も食べていないにもかかわらず、お腹いっぱいになり苦しくなってしまいました。
普通、彼のような人を見る他人の目は、あのピザ配達人のような感覚でしょう。
それなのに、色々な事情があるとは言え、彼の周りには、彼のことを親身に考える人がいたことが大きな救いとなっています。
印象的だったのは、最後のエリの輝くような美しい顔。
初めて光が当たった彼女の顔は、それまでの薄暗がりの中の一条の光でした。
このまま彼女に、そして他の人たちにも幸あれと思わず望んでしまいました。
最近、心のゆとりがなく、映画鑑賞も、少なくなっていたのですが、こういう良質の映画を見ると、やっぱり映画はいいなと、また映画鑑賞の気力が沸いてくるのでありました。(2024,06,24)
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