楢山節考 |
1983年 日本
<監督>今村昌平
<原作>深沢七郎
<キャスト> 緒形拳 , 坂本スミ子 , 清川虹子 , 倍賞美津子
<ストーリー>
信州の山深い寒村に住むおりん(坂本スミ子)は、69歳だが、まだまだ元気に働いている。しかし、来年、楢山参りの年を迎えることになった。楢山参りとは、息子が年老いた親を背負って、楢山に捨てに行く因習だった。そんな歳になっても、元気で、歯も抜けずにいるおりんは、人知れず、そのことを恥じていた・・・。
<感想>
20年以上前の映画ですが、当時の日本映画の実力を感じさせる、骨太の映画で、感動しました。
内容は、いわゆる、姥捨て山の話です。原作は、深沢七郎で、かつて、文学少女だった頃、読んだことがあるかもしれませんが、内容は、すっかり忘れていました。
貧しい村での生活や、風習が活き活きと描かれています。
嫁取りの話、生まれた子供が、男か女かで、その運命が分かれるという話、農作物を盗んだときのしきたり、そして、70歳になった冬に、山に捨てられる話。
出演者は、皆、体を張ったすばらしい演技なのですが、特に、おりん役の坂本スミ子さんが、本当にすばらしいの一言でした。役作りのために歯を抜いたらしいですが、その意気込みもすごいし、当時、47歳ぐらいだった彼女が、70歳の老女に成りきっているのが、本当にすごいです。役としては、70歳でも、まだまだ元気なおりんばあさん。その、「年寄りだけど、元気」の、加減が、すばらしいのです。
歳を取っても丈夫な自分の歯を無理矢理折って、血だらけの顔で、うれしそうに、皆に、見せびらかす所なんて、本当に、鬼気迫ってました。
そして、息子役の緒方拳も、上手いです。日本の、ロバート・デ・ニーロという感じです。村の因習で、親を捨てに行かなければならないのは、理解しているけれど、山の現実を目の当たりにして、うろたえるところは泣けます。
楢山に行く日に雪が降ると幸せだというのは、実は、早くお迎えが来て、苦しまずにすむからということなんですねーーー(T_T)。
悲しくて、辛い、貧しい日本の村の物語でした。(2006,08,25)
|
|
|