紀子の食卓 |
2005年 日本 ミステリー
<監督>園子温
<キャスト>吹石一恵 , つぐみ , 光石研 , 吉高由里子
<ストーリー>
田舎町に住む島原紀子(吹石一恵)は、17歳の女子高生。生活全般にいらだちを感じていた彼女は、「廃墟ドットコム」というサイトにのめり込み、ある日、家出をして東京へと向かう。HN上野駅54=クミコ(つぐみ)と出会った紀子は、彼女が経営するレンタル家族のメンバーとなるが・・・。
<感想>
内容を知らずに見始めたので、話が進むにつれて、すごいことになってゆくストーリーに、驚かされました。
この映画は、同じ監督の「自殺サークル」という映画の後を引く継ぐような作品らしいので、「自殺サークル」から見れば良かったと、ちょっぴり後悔しましたが、この映画だけでも、ストーリーは、理解できるし、十分ショッキングでありました。
冒頭の紀子のいらだちは、かつて女子高生だった私も、よく分かりました。
型に押し込めようとする親、上辺だけの友達、全てが作り物めいていて、自分の居場所がない感じ。全てを振り切って、家出したいと、一瞬でも思ったことがある人は、多いのではないでしょうか。でも、なかなか実際には、出来ないことなんですけどね〜〜。
そんな彼女を停電が後押しし、そして、東京へ。
サイトで知り合ったクミコの言うままに、レンタル家族の一員になり・・・。
このレンタル家族っていうのがね〜〜。あまりにも幸福そうで、TVドラマみたいで、白々しくて、見ているのが恥ずかしいぐらいでした。
人は、こんな白々しい、絵に描いたような幸福で、喜びを得るほど、貧困になってしまっているのかな、そんなことはないとは思うのだけれど・・・。
こんな事を考えつくクミコには、それなりの過去があり、そういえば、過去に、こんな事件が実際にあったなと思い出したり・・・。
ラストに展開される実際の家族による疑似家族のシーンは、悲しくて悲しくて、涙が止まりませんでした。
紀子が求める幸福とは、いったい何だったんでしょう。
幸せな家族って、何が基準なんでしょう。
紀子たちのいらだちも分かるし、必死に”家族”を作ってきた親の気持ちも分かる。その両者の隔たりは、ここまで大きいのでしょうか。
家族間でも、ちょっとした気遣いや、思いやりは必要で、それを放棄して、虚構だと断定するのはあまりにも投げやりのような気がします。
切なくて、ショッキングで、見た後、ちょっと落ち込みました。
紀子役の吹石一恵、クミコ役のつぐみ、父親役の光石研、みんな熱演でした。妹、ユカ役の吉高由里子は、ちょっとセリフが聞き取りにくいところがあって、そこが残念でした。(2008,03,22)
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