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ホテル・ルワンダ      


2004年 イギリス・イタリア・南アフリカ 歴史・スリラー・戦争   

<監督>テリー・ジョージ
<キャスト>ドン・チードル , ホアキン・フェニックス , ニック・ノルティ , ジャン・レノ

<ストーリー>
1994年、ルワンダの首都キガリの、ベルギー系高級ホテル、ミル・コリンの支配人、ポール(ドン・チードル)は、街の不穏な空気に、不安感を高めていた。それは、フツ族とツチ族の関係が内戦こそ収まっているものの、一触即発の状態だったからだ。その日、ポールが家に帰ると、家には、近所のツチ族たちが、避難してきていた・・・。

<感想>
民族紛争は、国と国との争いよりも、根が深く、憎しみも強いと聞きますが、ルワンダでの出来事は、聞きしにまさる凄惨なものだったようです。
ただ、ここで起こった民族間の争いは、元々西洋からもたらされたということを知って、更に唖然としました。
国家としてまとまっていたフツ族と、ツチ族をはっきりと分離させたのは、当時支配していたベルギーで、彼らは、ツチ族だけを優遇して、人種差別を植え付けたということです。つまり、人々の不平不満を統治するベルギーに向けずに、民族間に向けるように画策したというわけですね。
その思惑通りに民族間の対立が大きくなり、そして、この時を迎えたわけで、民族を大きく分けてしまったのも、紛争を起こす要因を作ったのも、そして、彼らを見捨てたのも、西洋人だったわけです。なんてことでしょう!

映画では、ドン・チードルが、ホテル、ミル・コリンの支配人、ポールを熱演しています。
ホテルに取り残された人々を助けるために、機転を利かせて、あらゆる努力をするその姿には、神々しささえ漂っていました。
また、自分の仕事におけるステータスに慣れ親しんだ彼が、民族紛争によって、改めて自分の、西洋人社会における立場を再認識して愕然としたり、最初は自分の家族さえ助かればいいと思っていた彼が、自分の命を諦めてまでツチ族の人々を助けようとしたりと、彼自身の心の変化も明確に描かれています。

そして、映画を見ていて感じるのは、なんといっても国連の弱腰の対応です。それによって、最前線に立っている兵士や職員が、どんなに悲しく、悔しい思いをしたことでしょう。
また、ホアキン・フェニックスがつぶやく「この情報がニュースとして流されても、それを見ていた人たちは、「ひどい」と言うだけで、そのままディナーを続けるだろう。」という言葉は、そのまま、全世界の人々のために発せられた懺悔の一言なのでしょうね。(2006,11,25)



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