弓：シネマチェック：

弓　　　

２００５年　韓国　ロマンス

＜監督＞キム・ギドク
＜キャスト＞チョン・ソンファン , ハン・ヨルム

＜ストーリー＞
海の上に浮かぶ釣り船の中で、老人（チョン・ソンファン）と少女（ハン・ヨルム）は、二人だけで生活をしていた。老人は、小舟に乗って、釣り人を船に連れてきて、釣りをさせたり、占いをしたりして生計を立てている。老人は、少女が１７歳になったときに結婚する予定を立て、その準備を着々と進めていた。しかしある日、釣り客の青年に少女が恋をした・・・。

＜感想＞
予告編を見て、評判を聞き、あまり見る気がしなかったのですが、時間に余裕のあったお正月に見てみました。う～ん、やっぱり見たことを後悔。

監督は、鬼才といわれる韓国のキム・ギドク。
彼の作品は、「サマリア」と「春夏秋冬そして春」しか見ていませんが、特に「春夏秋冬～」の方は、結構好きな作品です。
この作品とは、水の上に浮かぶ住まいという共通点がありますが、気品の点では、雲泥の差がありました。

どんな話なのかがよく分からなかった前半は、美しいです。
老人の爪弾く弓の音色、弓占い、そして、少女を守るための武器としての弓。
老人は、少女を世の中の荒波から大切に守っているように見えました。
そして、海の上でのたった二人だけの生活に、言葉はいりません。まるで、祖父と孫のような関係・・・。だったらよかったのですが・・・(^^;。

外からの情報から隔絶されていた少女も、やがて成長して、老人が連れてきた釣り客がもたらしす外の風を全身で吸収して、次第に船以外の世界へと心が揺らぎはじめ、二人だけの生活に崩壊の兆しが見え隠れします。船と同じように、常に同じ所に留まるということ事態、無理なことなんですよね。

私がどうにもいやだったのは、老人が、嬉々として、カレンダーの日付を消していったり、結婚の準備を着々と進めるところ。しかも、結婚する日のカレンダーには、老人の手によって、ハートマークが書かれています。ゾッとしますねーーー。
そして、首つりのシーンにも、彼の本性が見え隠れして薄汚く、ラストだけ神聖なもののように描かれても、釈然としませんでした。(2008,01,02)