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BOY A |
2007年 イギリス 犯罪・ロマンス
<監督>ジョン・クローリー
<キャスト>アンドリュー・ガーフィールド , ピーター・ミュラン
<ストーリー>
イギリス。かつての少年A(アンドリュー・ガーフィールド)は、長い刑期を終え、ジャックという新しい名前と、新しい過去を持って、刑務所から出所した。ソーシャルワーカーのテリー(ピーター・ミュラン)は、ジャックのために、仕事や住まいを世話して、新しい生活を支えてくれていた。そして、ジャックは、初めての社会生活に戸惑いつつも、楽しさを見いだしていくのだが・・・。
<感想>
見終わって、何とも言えない気持ちになりました。
昔、少年が幼児を殺すという大事件がイギリスであったと思うのですが、その事件を思い出しました。
もちろん、イギリスとは限らず、日本でも、少年犯罪、しかも常軌を逸したような、そして、人々の心に深い傷やインパクトを残した事件が、色々とありました。
この映画を観て、それらの被告のその後の事を思い、考え込んでしまいました・・・。
もちろん、個々のケースで、いろいろな違いがあるのでしょうが、
この映画で描かれている”ジャック”は、いい方向に更正したように思えました。
事件そのものも、彼にどれだけ責任があったのか・・・。
でも、十数年後、刑期を終えた彼の事を、世間は、決して忘れていないのです。
それは、日本で起こったいろいろな事件の事を考えて、自分に照らし合わせても、十分にうなずける事です。
マスコミや一部のネットは、出所した彼のその後を知りたがり、追いかけ・・・。
そして、世間もそれを知りたがり、そして、排除しようとするのです。
映画は、”ジャック”側からだけ描かれているので、映画を観ている間は、どうしても、ジャック寄りの見方になってしまいますが、
立場によって、考え方は、大きく違う事と思います。
私も、ある本で、ある事件を起こし、刑期を終えた後、順風満帆に過ごしているらしいある加害者の存在を知ったとき、とても複雑な気持ちでした。
人の命を奪っておいて、たとえその事に対しての罰を受けた後だとしても、その後の人生を、”普通の人”として生きていいのだろうか??
もちろん、法律的には、そういう事になっているのですが、心情的には、許せないような、不合理のような、そんな気持ちを持ってしまいました。
でも、なら何故、有期刑があるのか。という事ですよねーー。
その辺の、気持ちの、折り合いを付けるのが、とても大変です。
そして、マスコミが騒ぎ、世間の、そういう負の気持ちを、増幅させるのです。
その結果・・・。
一人一人の小さな悪意の固まりによって、立場が逆転してしまう・・・。
主演のアンドリュー・ガーフィールドが、すばらしいです。
出所したばかりで、社会生活に慣れずに、おどおどとしていたり、人の心のちょっとした動きにも、敏感に反応してしまうところとかが、よく演じられていて、見ている間、ずっと、彼が何かやらかさないか、彼の態度を周りが変に思わないか、緊張して見ていました。
彼のラストのあの行動・・・。やはり、あの選択肢しかなかったのかなと、暗澹たる気持ちになりました・・・。(2010,01,21)
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