「命」 柳美里 2001.01.19







柳美里様
あなたの赤ちゃんに何をしてあげられるだろうかと考えてきました。
僕には恐ろしいほど時間がないのですが、出来れば、ですよ、死ぬまでに３人の名前をプレゼントしたいと思っています。
赤ちゃんの御守りの中に３人の名前と生年月日と住所と電話番号を書いた紙を入れます。
その３人は赤ちゃんの身に何か困ったことが起きたときに連絡すると、必ず役に立ってくれる人です。
あなたは４人を見つけてください。
そうすれば、あなたの赤ちゃんは７人の使徒に守られることになります。
もし僕がその３人を見つけられなかったら・・・・
５４年間生きて、３人の名前をプレゼントできなかったら・・・でも、きっとプレゼントします・・・東由多加（帯より）

柳美里、彼女が、今度は、未婚の母となる。
しかも、相手の男性は、逃げ腰ともなると、決断するには、並の心構えでは、出来ないことでしょう。
また、それに、力を貸してくれる人の癌発症という不幸も重なる。
それでも、つぶされないで、見事に、出産してしまうのだから、強いです。
それも、彼女を支える多くの人の力が、あってのことなのでしょうね。
読みながら、彼女の、我の強さや、心の弱さに、いらつきながらも、圧倒的な生命力に、ねじ伏せられた思いです。