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「ぼっけえ、きょうてえ」 岩井志麻子 2001.03.30
妾の身の上を聞きたいじゃて?
ますますもって、変わったお方じゃなぁ。
しゃあけどますますええ夢は見られんなるよ。
妾の身の上やこ聞いたら、きょうてえきょうてえ夢を見りゃあせんじゃろか。
それでもええて?そんならはなそうか・・・・(カバーより)
4作品からなるホラー短編集です。
表題作は、日本ホラー小説大賞受賞作です。
この4つの作品、一つ一つ、違う顔を持っているのですが、
やはり、最初の、表題作、「ぼっけえ、きょうてえ」が、他を圧倒しています。
なんと言っても、この奇妙な題名。
これは、岡山弁で、「とってもこわい」という意味だそうです。
明治時代の遊郭で極貧のために身売りされた遊女が、客に請われて話す寝物語
という設定で、話は、進みますが、
その内容が、すさまじく、読み進むのが、辛かったです。
ホラーだから怖いと言うより、その時代の、極貧のそのまた下で、生活する人の姿が、悲しく、恐ろしい。
そんな時代もあったといえば、そうなのかもしれないけれど、
そのことを、淡々と、話す彼女の姿も、これ又、恐ろしいのです。
他に、「密告函」、「あまぞわい」、「依って件の如し」の3編が収録されていますが、
どれも、貧しい生活から生まれた、恐怖の話です。