シネマチェックトップページbook作家別index題名別index     



「異端の夏」 
藤田宜永 2001.11.15



夏の盛りの別荘地で忽然と消えた12歳の少年。
うろたえる家族や妻に手を挙げる画廊経営者に古傷を抉られた辰巳刑事は、
少年の母・室谷康子に次第に惹かれていった。
そして、捜査線上に現れた”疑惑の人々”は、室谷画廊に何らかの関係のあるものばかりだった。
(帯より)

サスペンスものとしては、とてもおもしろかったです。
男の子がいなくなってもすぐには誘拐事件としては調べずに、事件事故、両方からの地道な調査。
そんなまどこっさが子供の父親に不信の念を抱かすのはよくわかりました。
そして、様々な面から犯人像を追ってゆく。
時には、全く関係のない横道にそれたりしながらも、だんだんと核心に迫ってゆく。
そんな警察の、積み重ねの捜査の重要性をよくわかったうえで、捜査をすすめる辰巳刑事に好感が持てました。
でも、ちょっと、なじめなかったのが、辰巳の恋愛感情。
一目惚れには、実際、理由というものがないとは思うけれど、それは、本人だけのことで、読んでいる読者にも、わかるように書いてくれないと・・・。
藤田さんの本は、今回初めて読んだと思うけれど、恋愛関係は、ちょっと苦手なのかも・・・(^^)。
この分野は、やはり、奥様の小池真理子さんの方が、上手かな。