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「狂王ヘロデ」
曾野綾子 2001.11.28
エルサレムなど街を造り経済を繁栄させる一方、妻と三人の息子、縁者を殺し、恐怖の大王の悪名を轟かす。
紀元前のユダヤに君臨したヘロデ王の生涯を描く、著者初の長編歴史小説。
欲望と悪の本質とは?(集英社紹介文より)
*
なかなか苦労しました、この本(^^;。
世界史大好きなあなたには、もってこいの本でしょう(^^)。
私はというと、歴史関係大の苦手、カタカナ名前も、途中でパス!
の人なので、読み始めるまでにも、覚悟が必要でした。
しかも、この時代の、名前の難しいこと!
(アンティパトロス、アリストブロス、アレキサンドロス・・・etc.!!!(^^;)、
その上、親族に、同じ名前を付ける習慣があるらしく、マリアンメも、クレオパトラも、ヘロデも、複数存在するのです(^^;。
そんなわけで、読み進むには、同じ所を何回か読んで、頭にたたき込んでいかないと、何がなにやらわからなくなりそうでした。
でも、そんな苦労をしても、最後まで読めたのは、やはり、作者の力量でしょうか。
語り部を「穴」という、影のような存在の楽士にしたせいで、
ちょっと、離れたところから、王室の内部を描いているので、
全体の流れが、よくつかめました。
でも、何回も、冒頭のヘロデ王の家系図や、登場人物の説明を読み返しましたが・・・(^^)。
確かに、彼ヘロデは、身内を何人も殺した、狂王だったのかもしれないけれど、
彼の立場で、物事を正確に判断し、自分の後継者を決めるのは、至難の業だとわかります。
彼の周りには、嘘の情報や、奸計が、あふれているのですから。
そんな父親を見ながらも、息子たちは、跡継ぎへの争いを続ける。
ちょっと離れたところで見ていると、そのむなしさや、怖さがわかるのに、
それ以上の、魅力があるのでしょうか、権力とは・・・。
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