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「邪魔」  奥田英朗 2002.02.02





始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。
似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。
手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやるーーー(帯より)



どこにでもいる、普通の人が、ちょっとしたことから、どんどん、取り返しの付かない方向へと転がってゆく。
その普通の人の描写が、うまいだけに、身につまされる思いで読み進みました。
一歩引いてみると、たいしたことのない小さな事なのに、本人にとっては、とてつもなく、重い出来事だったりするのです。
友達の手前、突っ張って、オヤジ狩りをする高校生、同僚との軋轢で職を辞さなければならなくなる刑事、
ちょっとした使い込みを隠すために放火をしてしまうサラリーマン、そして、夫の犯した罪に翻弄される主婦。
客観的に読んでいる私は、何でそんなことを・・・、もうそこで、やめておいて!と、思いながら読みました。

この作者の「最悪」も傑作です。