「妖櫻忌」　　　 篠田節子　02.03.31






著名な女流作家・大原鳳月が死んだ。
彼女の死を悼む担当編集者・堀口のもとに、大原をモデルに綴った原稿を秘書の若桑律子が持って来た。
律子が書いたというその小説は、筆が進むに従って大原が書いた文章に似てくる。
律子は大原の遺作を隠し、自分の名前で世に出そうと目論んでいるのか？謎を追う堀口が見たものはーーー。 （帯より）


私の好きな作家さんの一人です。
何でかというと、まず、読みやすい。書かれていることが、素直に頭に入ってくる。
そして、読み出したら止まらない。
この作品もそうでした。
律子はいったい何をたくらんでいるのか、そして、なにを怖がっているのか、その謎が徐々に解き明かされてゆきます。
ゾゾゾ〜と、怖いです。
もし、私が、堀口の立場だったら、やはり同じような行動パターンを取るでしょうね。
女として、作家としての強い思い＝怨念が、鳳月をこうさせたのでしょうか・・・。
こ、怖い・・・でも面白かった・・・（＾＾；
私って、やっぱり、ホラー好きです(^^)
「作者は、作品に付随する影法師にすぎない」（文中より）この一言は、作者の実感なのかもしれません。

篠田さんの作品で、私のお薦めは、「夏の厄災」「絹の変容」「女たちのジハード」そして、「弥勒」です。
特に「弥勒」は、考えさせられる話で、強力におすすめ。
ただ、篠田さんの作品としては、少々異色かもしれません。