生涯にただ一つだけ欲しいと願ったもの。それは友達の夫―。 その刹那、私は全身の輪郭が溶ける感覚を味わった。この男が愛しい。 今までは、ただ明子さんの鼻をあかしてやりたいという、それだけの暗い気持ちでいたのに…。 ((「MARC」データベースより) また手に取ってしまった岩井志麻子・・・(^^; でも、今回の作品は、今までの物と一変、大正時代の女性の恋愛物語です。(ホラーではありません(^^))。岩井さんも、ホラー以外の小説も書くのですね(当たり前か、すいません。。。(^^;)。 でも、内容は、きついですね。当時の女性の地位とか、考え方が私の心をチクチク刺しました。 お嬢様育ちの明子さん、女学校を卒業してすぐに結婚。金銭的にも、愛情にも恵まれた彼女の、悪意のない行為。無邪気なだけに、なおさら恐ろしい。こういう人いますね。人の気持ちを考えないで、親切の押し売りみたいな事をする人。 それから、前半はほとんど出てこない優一郎の母親も、恐ろしい。 女性同士でありながら、こんな事をするなんて・・・。女性同士だからこその怖さです。それを容認してしまう時代だったんですね、大正時代って。 それから、それを躊躇なく受け入れてしまう優一郎、そして、その後の行動。あぁ、こんな時代に生まれなくてよかった。 |