古い大きな屋敷の一角にある離れを借りている文筆業の夫婦の元に猫がやってくるようになる。 その猫は、隣の家で飼っている猫でありながら、徐々に、夫婦になつき、よく遊ぶようになっていく。 静かな小説でした。 そして、猫に対する愛情が、ひしひしと伝わってくる本でした。 借家であるが故に猫を飼えない夫婦が、気まぐれにやってくる猫を待つ様子が、優しく描かれています。 猫を最大限に受け入れ、何も強制することもなく、ただ、優しく見守ってゆく。 そこには、押しつけはなく、猫と夫婦の優しい時間が静かに流れているようでした。 その優しさは、猫だけではなく、シオカラトンボや、塀に空いた小さな穴に対しても向けられています。 猫好きにお奨めの安らぎの小説です。 |