翻訳物は、苦手で、あまり読まないのですが、今回も、ちょっと苦労しました。 弟が、5人を殺害したという驚くべき連絡を受けたリチャードが、事件の起こったリゾート地−−−仕事をリタイアしたイギリス人たちが住む地中海の町−−−に、急遽向かうところから話が始まります。 その地で、弟の無実を証明しようと奔走するうちに、リチャードは魅力あふれるボビー・クロフォードに出会う。 クロフォードは、スポーツ万能で、人当たりもよく、老若男女を問わずに人を魅了してしまう。 そんな彼の存在によって、この地は、活発に活動をしていることがわかってくる。しかし、人々が生き生きとしている理由は、他にもあった・・・。 弟の無実を証明しようとしていた主人公が、クロフォードの魅力に引きつけられて、新しいリゾート地の責任者になることによって、弟の事件の真相が、徐々に分かってくる。そのあたりは、なかなかよくできていました。 死んだように静かな街を活気づけるのに必要なことは、”犯罪”。 目指すは、犯罪を基盤とした究極の社会。 少々の犯罪が、社会の活動力になり、それに伴って、経営者に利益をもたらす。 この考え方は、ちょっとした衝撃でした。 一つの、閉鎖されたコミュニティーだからこそ起こってしまった事件。集団心理をうまく使ったサスペンスです。 しかし、こんなにもうまく人の心理をうまく利用できるものかと、少々疑問でした。一種の集団ヒステリー状態かな?。 彼の著作は、スピルバーグの監督した「太陽の帝国」などがあります。 |