シネマチェックトップページbook作家別index題名別index     




「猛スピードで母は」   
長嶋有 02.10.02



家族の求心力が失われている時代に、勇気を与えてくれる重要な作品である−
村上龍 (帯より)




「サイドカーに犬」と、芥川賞受賞作の「猛スピードで母は」の2編が収録されています。

「サイドカーに犬」は、久しぶりに弟と会うことになった薫が、母親が家出をした子供の頃の、奇妙なひと夏を思い出す話です。母親がいなくなってから交代に現れた父親の愛人、洋子さんと過ごした夏は、子供心に強烈な思い出となって残ったようです。

「猛スピードで母は」は、結婚に失敗した母親と共に、祖父母のいる町に引っ越してきた慎と母親の話です。生活に一生懸命な母親は、いろいろ仕事を変えながらも、恋人を連れてきたり、祖父の面倒を見たりと、大変です。そんな母親の姿を見ながら、慎は自分の周りの出来事に対処しながら生活してゆきます。

どちらの話も、女性のキリッとしたいきざまと、べたべたしない子供との関係が、小気味よいです。