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「沙高楼綺譚」   
浅田次郎   02.11.22




南青山の秘密サロン「沙高楼」
功成り名を遂げた人々の口から
夜ごと語られる秘めやかな真実
稀代のストーリーテラーが紡ぎだす驚愕のミステリー
(帯より)


私が少々苦手とする浅田次郎のミステリーです。何でかというと、最初に読んだ「プリズンホテル」を、最後まで読み通せなかったからです。あの作品は、彼の著作の中でもちょっと異質な作品のような気もしますが・・・。でも、人気あるのよね、「プリズンホテル」・・・(^^;。

さて、この本は、5つの短編からなります。その世界で、成功した人たちの秘められた過去の物語です。
刀剣の鑑定、不思議な巡り会い、時代劇に現れる不思議なエキストラ、ガーデニング、そしてやくざの話です。

一番面白かったのは、ガーデニングの話の「百年の庭」です。
百年の月日をかけた究極の庭が目に浮かび、幻想的で、美しくて、読みながらため息が出ました。
それに、女の執念の絡む話は、おどろおどろしくて面白いです(^^)
そういえば、浅田さんは、男の世界の話が、多いのかな。

刀剣の鑑定の話「小鍛冶」も面白かったですね。鑑定家達の存在自体を揺さぶる事件で、これこそ、表に出せない話。でも、口に出さずにいられない話です。

それぞれが、趣のある話で、一話一話大事に読んでいきたい本でした。

(題名の「沙高楼」の、高と、楼は、本当は、昔の字?が使われています。)