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「シーズ ザ デイ」   
鈴木光司   03.01.28

    

16年前、5人の男女を乗せたヨットが南太平洋フィジー沖で遭難した。
愛したがゆえに傷つき、見えざるものの手によって翻弄された男と女。
ヨットという閉ざされた空間で一体何が起きたのか…。
『小説新潮』に連載されたもの。
(「MARC」データベースより)



「リング」の作者の、初の連載小説だったそうです。この作家さんの書く話は、ホラー以外でも、親子の愛があふれている作品が多くて好きですね。

海洋サスペンスです。
16年前の海難事故の当事者がその真相に迫る話で、また、それと共に、親子の血のつながりの不思議さもテーマとなっています。
ここに出てくる人たちは、皆、父親不在で、母親に育てられながらも、頭の片隅で父親を追い求めています。
男の人は、女性と違って、なかなか父親としての実感がわかないそうですが、反対に子供の側から見ると、当然、父親への思いも、母親への思いも同じ重さなのですね。そんな子供を目の前にして、男の人はいつから、「父親」になるのでしょうか。
女性の描写が、両極端で、現実離れしているようにも思いましたが、そんな人も広い世間にはいるのかもしれません。月子に翻弄される船越が、不甲斐ないというか、情けないというか、また、それが面白くもありました。
途中で結末が分かってしまったことが、ちょっと残念でしたが、いつもながらの読みやすい文章で、最後まで一気に読めました。

私の未知の世界であるクルーズ。この描写が生き生きとしていて読んでいて楽しかったです。
鏡のように静かな海を覗き込んでみたい。美しい海に潜って、吐き出した泡をつかんでみたい。荒れた海を乗り切って、世界征服したような気分になってみたい。
誰か私を海に連れてって〜〜〜(^^)。