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「誘拐の果実」   
真保裕一   03.03.02

    


病院長の孫娘が誘拐された 
”身代金”は入院患者の命だ!
標的は病院に身を隠していた被告人。
挑戦か陰謀か。悪魔のゲームの幕開けか!?
そして、もう一つの誘拐が・・・・。
逆転に次ぐ逆転!衝撃と興奮の傑作巨編。
(帯より)



出だしは、とっても好調です。
「誘拐の萌芽」→「十七歳の誘拐」→「十九歳の誘拐」の流れが、とてもいいのです。
特に、第二章の「十七歳の誘拐」は秀逸で、年頃の娘が誘拐された時の家族の緊迫感と、その後の息詰まる人質救出への奔走が見事に描かれていると思います。

でも、第三章の途中から、ちょっと失速か!? 
何回説明されても、善意の第三者を介する事による警察における不利な状況が、分からない・・・(^^;。
前読んだ「リスク」で、株の初歩が分かったような気になっていた私には、少々ショックです(^^;。
そして、株価の上昇に対しては、警察が気づくのがあまりにも遅いし・・・。
でも、まあ、このトリックは、見事です。今までこんな身代金は、聞いたことがなかったですから。

そして、後半は、あまりにも、出来すぎの子供達の前に、大人が不甲斐なく見えてしょうがありませんでした。
こんな信念の固まりの子供は、現実感なさ過ぎですね。ちょっと白けてしまいました。