「空中庭園」 角田光代 03.03.11 家族のことが、好きですか? 郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。 でも、ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景は・・・・。 連作家族小説の傑作! (帯より) |
6つの各章がそれぞれ父、母、娘、息子、祖母、家庭教師というように、京橋家の家族とその家族に関わる人々の独白とその行動です。 やはり一番インパクトがあったのは、最初の娘マナの章でしょう。 家族なんだから、何事も包み隠さず真実を話す。 それによって、マナは自分の「仕込まれた」ラブホテルを知ってしまいます。 家族には、その家族独自の形態が、それぞれあるとは思います。 でも、この京橋家の家族の掟には、私は唖然としました。そんなことが出来るはずがないと・・・。 そして読み進むうち、この家族は、表面上はいかにも明るく仲のいい家族なのに、それぞれの心の中は、バラバラで、自分中心。他の家族のことなんか、ちっとも分かっていない、分かろうともしていないことが分かってきます。 「何ごともつつみかくさず」のはずの家族が、実は、その掟のためにかえってたくさんの隠し事をしてしまう。隠し事のない人間なんて、あるはずがないのだから・・・。 でも、考えてみると、それは京橋家ばかりではありません。どこの家だって、家族の心の中身が見えてるわけではないのです。 だからそれでいいんです。 それでも、家族の集まる家で、羽を休める事が出来るのならば・・・。 立派な家庭なんて、作ろうとして出来るもんじゃないですよね。。。 |