「静かな黄昏の国」 篠田節子 03.03.20 甘く艶やかな死への誘い 何かおかしい、どこか変だ日常の延長にある奇妙な味わいを凝縮した珠玉の幻想ホラー作品集 「終の住みかは、本物の森の中にしませんか?」 終身介護施設の営業マンの言葉に乗り、自然に囲まれた家に向かう老夫婦。彼らを待っていたものはーーー。 表題作「静かな黄昏の国」を含む八編の作品集。(帯より) |
待ってました!篠田さんのホラー。私の苦手な短編でしたが、上品な、まさしく、珠玉のホラー集でした。 「リトル・マーメード」 貴重なペットとして飼い始められた、人魚のような姿形の魚。 もし、こんな魚がいたら、人気が出るのは必定で、そうなると、業者がほっておくわけもなく、ああなって、こうなって、きゃーーーー!怖ろしいですねーーー。でも、こんな事、きっかけさえあれば、実際に起こりそうな話です。 「陽炎」 神に魅入られたような心に響く音色を出す篠笛の奏者。しかし、それには、誰も知らない秘密があった・・・。 「エレジー」 これも、音楽にのめり込み、そして、音楽に飲み込まれてしまうという、怖ろしい話。 そして表題作の「静かな黄昏の国」。 数十年後の日本は、世界は、もしかすると、こんな状況になっているのかも。そう、今のままの環境破壊が進めば、あり得ることですね。そんな状況の社会での生活を強いられてきたら、この終身介護施設は、どんな理由があろうとも、私にはパラダイスのような気がします。こんな考え方って、危険かなぁ。 その他にもかなり高水準なホラーが4編。ホラー好きにはたまりませんね〜(^^)。 |