「ユーモレスク」 長野まゆみ 03.04.21
館周子(たてちかこ)・・老舗百貨店十字屋の紳士服売り場に勤める。二十四歳。
館真哉(たてまさや)・・六年前、五年生の遠足で行方不明になった周子の弟。
比和文彦(ひわふみひこ)・・館家の隣家の長男。周子の同級で真哉をかわいがっていた。
比和すみれ(ひわすみれ)・・文彦の姉。行方不明になったとき真哉の担任だった。
副島和(そえじまたかし)・・E学院の生徒。高校生。十字屋で周子に出会う。
(帯より)
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ドボルザークの「ユーモレスク」。それは、周子の隣家の比和すみれがよくピアノで弾いていた曲。どんな曲かと思って、ネットで検索すると、すぐに出てきました。誰でもが聞き覚えのある懐かしい曲です。
今回初めて読む長野まゆみさんは、20〜30代の女性に圧倒的な支持を受けている作家さんらしいですね。知らなかった・・・(^^;。
今回読んでみて、その軽い文章と優しい視線が、大勢の支持を受ける源となっているように思いました。
七年前に遠足に行ったまま行方不明の弟、真哉。彼を想う家族の心情に心が痛みます。
その死を確認できない限り、いつまでも待ち続けてしまうその気持ちは、他人から見たら、もういい加減にしたら・・・と言う言葉になってしまうのでしょうが、やはりきっぱりと諦めるには、何かのきっかけが必要なのでしょう。
行方不明の弟の当時の担任だったすみれさんが亡くなったことによって、再び出会った文彦、そして和。彼らとの出会いで、弟の記憶が新たに付け加えられてゆく・・・。
優しすぎる人々の心のあやうさと、関わりの不思議さを感じます。
紳士服を専門に扱っていると、男性の着こなしに目が肥えてくる・・・。その販売員の目にとまるような美しい男性が出てくるのですが、残念ながら手が届かないもどかしさ・・・ああもったいない・・・って?私(^^)。
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