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「ラッキーマン」
マイケル・J・フォックス
この病気にならなければ、
僕はこれほど深くて豊かな気持ちになれなかったはずだ。
だから、ぼくは自分をラッキーマンだと思うのだ。
(折り返しより)
パーキンソン病。
マイケル・J・フォックスが、この病気であると言うことを1998年に公表した時、世界中のどれだけ多くの人が驚いたことでしょう。しかも、彼は、その病気になってからもう7年も経っていたのです。
パーキンソン病ほど人間として辛い病気はないと思います。進行速度は、遅いとはいえ、いや、遅いからこそ、患者は考え、苦しみ、悩むのです。
そして、徐々に、確実に人間としての機能が侵され、変形し、絶望してゆきます。
普通は、老人の罹る病気です。アメリカでは、150万人もの患者がいるそうです。しかし、その1割の患者は、若年性パーキンソン病。つまり、マイケルの罹った病気でした。
彼は、なんと30歳で、発病しているのです。
そして、医者に、後10年は仕事が出来ると、宣告されています。
なんて、ひどい話でしょう。
「バック・トゥー・ザ・フュチャー」という大ヒット映画の主役で、大スターだった彼が、あと10年しか仕事が出来ないと言われたのです。しかも、30歳で・・・・。
彼の絶望は、どれほどのものだったでしょう。私は、想像するのもつらいです。
しかし、その彼は、自分をラッキーマンだという。そう思えるようになるまでの彼を全部含めて、なんてすばらしい人なんだろうと思いました。
この病気の他にも幼い頃の思い出や、大スターになったときの状況も綴っています。
「バック・トゥー・ザ・フュチャー」での彼の出演の裏話や、アメリカでのハリウッドスターの立場など、映画好きには興味深い話もたくさんありました。
パーキンソン病自体は、今後10年ほどで、病気の解明が進み、治療できる病気になる可能性があるそうです。何とか、早く病気の治療法が確立できることを切に望みます。それは、パーキンソン病の患者を身内に持つ者の一番の望みです。(03.05.07)