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「第三の時効」    
横山秀夫  03.08.15

    
犯人か。刑事か。
追われているのはどっちだ。
男たちのほこりがぶつかりあう。
これぞ警察小説の白眉!(帯より)


またまた横山さんの警察小説です。
6つの、刑事と犯人との闘いが収められている短編集です。
でも、短編集という気がしないほど、一つ一つが、充実しています。

横山さんの小説のすばらしいところは、犯罪そのものと、その捜査に当たる刑事達の人間模様を見事に描いている所でしょう。
それにしても、今回は、この男(刑事)達の同僚へのライバル意識に正直びっくりさせられました。
ライバル心がこんなに強いと、やはり捜査には、マイナスになりそうで、現実の刑事達もこうなのかと、ちょっと心配になったりして(^^;。

それぞれ別の事件を順番に振り当てられて、事件の解決へとばく進する彼ら。その班同士のライバル意識。部下から上司に向けられる不信感。上に立つ者の苦悩などなど。
事件は違っていても、一つ一つの話の人間関係がそのまま続くので、話がより深く感じられます。

この6つの話、どれもが印象深いのですが、その都度起こる班同士の事件解決へのせめぎ合いの中、私は、最初の話に出てきた捜査第一課強行班一班班長、朽木に、どうしても肩入れしてしまいました。絶対笑わない男・・・朽木泰正。