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「殺人の門」
東野圭吾
あいつを殺したい。
でも、私には殺せない。
人間の心の闇に潜む殺人衝動。
その深層をえぐり出す、衝撃の問題作。 (帯より)
なんで、こうも東野圭吾さんの本は、すらすらと読めてしまうのでしょう。内容的には暗くて救いのない、重い話なのですが、気が付くと読み終わっていました。
何度も苦杯をなめさせられ、その都度暗い思いにとらわれる主人公、田島。そんな彼に、読みながらイライラしつつも、いつの間にか同じように言いくるめられてしまいそうな自分がいるのです。
話の流れといい、構成といい、よく練られ、よく出来た本だと思います。
この手の詐欺の話は、よく世間を騒がせていますが、その被害者も、加害者も、重複すると言われるのが、この本を読むと、なるほどと理解できます。
人を信用しやすい人。そして、人を言いくるめるのがうまい人。それらは、それぞれ天賦の才能なのだと感じます。
そんな倉橋に目をつけられた田島の運命は、小学校の時にもう決していたのでしょう。それは、何度も倉橋に騙される田島自身の責任も十分あると思いますが、まず人を疑うってなかなか出来ないですよね。
うまい話には、気をつけなくっちゃ、とこの本を読みつつ、肝に銘じました。(2004.02.23)