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「光ってみえるもの、あれは」    
川上弘美  
ああ、やっぱり僕は早く大人になりたいーー
友がいて、恋人がいて
「ふつう」からちょっぴりはみ出した家族がいて・・・
生きることへの小さな違和感を抱えた
江戸 翠、16歳の夏
みずみずしい<家族小説>の誕生 (帯より)


「センセイの鞄」以来好きになった川上弘美さんの本です。
ちょっとした言葉のはしはしにセンスが光ります。
そして、今ではあまり使わなくなった言い回しが出てくるのも、好きですねぇ。

主人公は、ちょっと変わった家庭環境に育った江戸翠(みどり)。
この主人公はじめ、登場人物が、皆魅力的です。一番は、なんと言っても、母親の愛子さん。祖母の匡子さんも、なかなかのものです。あとは、後半になって大きな存在になるキタガー。こんな先生、いそうにないけど、いたら、楽しいでしょうね(^^)。

そんな彼らが、織りなす様々な日常。それが面白くないわけがないですね。
特に彼らの会話の面白さには思わず何度もプッと、小さく笑わせて貰いました。いい感じです(^^)。

ただ、この主人公の翠という名前。素敵なことは素敵なんだけど、最後まで女の子のイメージがつきまとって、邪魔でした。
本の中に出てくる人名は、その人物のイメージに大きくつながるものだから、とても大切なものですが、あまりに変わった名前や、読みにくい名前だと、もうそれだけで、読むのがイヤになったりしてしまいます。今回は、それほどひどくはなかったですが、ちょっとうっとうしかったですねぇ。 (2004.03.04)