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「女神」
久世光彦
あたしは〈文芸〉の男たちに
愛され、求められ、
奪われ続けたーー
昭和文壇の裏面を生きた女
坂本睦子を描く傑作長編 (帯より)
いやあびっくりしました。最初は、何気なく読んでいたのに、途中から、教科書に載っているような、有名な作家さん達の名前がバンバン出てくるのですから。
当時、文芸に属した若き作家達。
彼らの青春の思いはひとりの女性に受け止められ、そしてまた、彼女から創作意欲をかき立てられたのでしょうか。
その著作によって、イメージづけられていた作家さんの生身の姿がかいま見れて、ちょっとした驚きです。
あの謹厳な作品の作家さんが、実は私生活では、こんな風だったのか〜とかね。
まさにその時代を駆け抜けた名もなき一人の女性、坂本睦子。彼女は彼らの作品の中でひっそりとに生き続けるのでしょう。
出てくる作家さん達は大岡昇平、小林秀雄、青山二郎、坂口安吾、中原中也、菊池寛、白州正子など。そうそうたる名前でしょう〜?。
彼らの文学への厳しい追究には、彼女のような緩衝地帯が必要だったのかもしれないですねぇ。
題名の「女神」は、「じょしん」と読ませています (2004.04.14)