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「神々のプロムナード」
鈴木光司
姿を消した人々・・・
松岡邦夫/会社員・・・日曜日の夕方ふらりと外出。テレビもつけっぱなしのままだった。
加納諒子/タレント・・・件のテレビ番組に生出演後、姿を見せていない。
飯島恵子/ルポライター・・・新興宗教教団の取材旅行に出たまま連絡を絶つ。
さらに謎の事件が絡み合い、世界は混沌の淵へ落下していった。 (帯より)
「リングに先立つ自分の原点がここにある」という紹介文があったので、リングの前の物語かと錯覚してました。
でも、実際には、リングとは、全然関係なかったのですねー。
しかし、謎めいた物語の始まりに、胸ときめかせて読み進みました。
友人の謎めいた失踪。そして、その妻への思い。友人の足跡を追ううちに辿り着いたある教団。ん?教団と失踪事件??
でも、何故か全てが中途半端な感じ。
二人の失踪にしても、すっきりしない−−−これは、意図のあるものでしたが−−−し、史郎の深雪への思いも、ちょっと理解しがたい−−−深雪のしたたかさは、よ〜く理解できたけど・・・(^^)。史郎の仕事の話も余談のような気がするし・・・。
でも、後書きを読んで、なるほどなぁと分かりました。
オウム事件の前に構想を練っていた作品で、時代を先取りしていたにもかかわらず、発表が事件の後手に回ってしまい、構想そのものの変更を余儀なくされたそうです。確かに、これを今読んでも、やはりオウム事件の方がインパクトが強いですもんね。事実に勝てる小説は、なかなかないでしょう。災難でしたね、鈴木さん。
とはいえ、結末も、ちょっと首をかしげたくなるような話になってしまって、残念でした。 「八年の年月をかけたミステリー大作」って、ちょっと時間かけすぎましたね、鈴木さん、とはいえ、お疲れ様でした。次作を期待してます!。 (2004.05.04)