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「思いわずらうことなく愉しく生きよ」
江國 香織  



自分のしたことに後悔なんかしないわ。
結婚して7年の麻子、
結婚はしないけれど同棲中の治子、
恋愛なんて信じていない育子。
のびやかで凛とした三姉妹の物語。(帯より)



ちょっと宗教臭の漂う題名ですが、決してそんなことはありません。成人した三人姉妹の生き方を描いた物語です。

三人それぞれ個性的な生き方をしています。まあ、個性的でない生き方なんて、ないんですが・・・(^^;。
その中でも長女の麻子は、一番深刻な状態になっていました。彼女の場合は、決してのびやかとはいえない生活を送っていますよねぇ。おおらかな恋愛小説だと思っていた私は、この麻子の状態が分かってから、それまでの、のんびりした読み方とはちょっと変わってしまいました。

独身時代には想像も出来ないような彼女の生活や精神面での変貌は、閉ざされた家庭という中にあって、いかに親しい人であっても、周りは、なかなか気づくことが出来ないんですねぇ。
DVは、ニュースでも盛んに話題に取り上げられていますが、それなら別れればいいなどという単純なものではなく、実際には、根が深く、こんな感じなんだろうなぁと、恐怖しつつ読みました。でも、一番の恐怖は、暴力による痛みではなく、愛する人の変貌なのかもしれないですねぇ。

麻子の状況があまりにも刺激的だったので、他の二人の恋愛模様が、ちょっとかすんでしまったような感じがしますが、他の二人も、結構過激に生きてます(^^)。
育子が今後、どうなるのか、続編を読んでみたい気がしますね(^^)。

それにしても、この姉妹の関係はいいですねぇ。お互いに全然違う男性観を持っているのに、根が家族として繋がっているので、安心できる感じがします。やっぱりいいな、姉妹って(^^)。
400ページ近い厚めの本でしたが、あっという間に読んでしまいました。
実は江國さんの本は、読みたい本がいろいろあるので、これから、徐々に読んでいきたいなと、楽しみにしています(^^)。 (2004.10.20)