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「誰か」
宮部みゆき
事件は小さいけれど、
悩みは深い。
稀代の物語作家が、
あなたの魂を揺さぶる新たな代表作を、今ここに生み出したーーー
著者2年ぶりの現代ミステリー
待望の書き下ろし! (帯より)
久しぶりに読みました、宮部作品。
いいですねぇ、この語り口。
しかも今回は、「理由」とか
「模倣犯」
のように、いやになるほどの長さでなかったのが、なによりです。長い作品も、ずしりと読み応えがあっていいのですが、やはり疲れます・・・(^^;。
今回の語りは、逆玉夫の杉村。身分不相応?の妻をめとった苦悩がちょっと見え隠れする彼は、それでも、妻を心から愛しています。その感情が、語り口にとてもよく表れているのがうれしい一冊です。読みながら、まるで男性が愛する女性への思いを綴っているようでしたね〜。・・・きっと、女性ならこう思われたいという私の願望が、そう思わせたんでしょうね(^^)。
ラストにもう一つの山場がありました。これは、ちょっと意外で、痛い結末を迎えます。どうしてあの言葉で杉村が気付いたのかが、鈍い私には、ちょっと分からなかったですが、少々暗澹たる思いが胸を占めました。 (2004.11.21)