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「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」
江國香織
第15回 山本周五郎賞受賞
「五感すべてを使って生き、人生を肯定捨て入る成熟した大人の小説」(選考委員 長部日出雄氏) (帯より)
様々な愛を生きた女性たちを描いた、著者お得意の短編集です。
「号泣する準備は出来ていた」もそうですが、この本の題名も、なかなかのインパクトです。この「泳ぐのに」をそのまま「生きるのに」に変えてしまうのは、ちょっと切ないなぁ・・・。
10人の女性がそれぞれの愛をどう感じ、どう生きているのか。
江國さんの短編には、さらっとした触感があります。劇的な起承転結はなく、女性の心象風景をあるがままに描いている感じでした。
・一番印象に残った「うんとお腹をすかせてきてね」。一緒に同じものを食べる恋人同士。「あたしたちの身体はもうかなり同じものでできているはずだ」は、衝撃的でした。そんなこと考えたこともなかった・・・。
・寒々しい2月の動物園。そこに昔家族だった男女が身を寄せ合って、子供と動物を見る「動物園」。読んでいて、本当に、寒かったです・・・(^^;。
・嫌だけど、なんか、奈津彦の気持ちも分かる「犬小屋」。
・50近い男と、40を過ぎた女の10年にわたる不倫話「愛しいひとが、もうすぐここにやってくる」。ここまで不倫関係を続ける男の気持ちが分からない・・・。 (2004.12.06)