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「硝子のハンマー」
貴志祐介
見えない殺人者の底知れぬ悪意。
異能の防犯探偵が挑む、究極の密室トリック! (副題より)
久しぶりの貴志作品。
「青の炎」から4年半。なんて書かれると、「青の炎」が好きだった私としては、自ずと期待してしまいます。
内容は、いかにも貴志さんらしい緻密さにあふれていました。
大きく、前半、後半に別れていて、突然犯人の生い立ちが始まるのにはびっくりしましたが、どちらもとても読みやすく、ぐいぐいと引き込まれてゆきました。
それにしても、なんと細かい計算をする人でしょう。あらゆる所で、その細かな計画性が生かされています。それがたとえ、的はずれな推理だったとしても、なんだか、読んでいるうちに納得させられてしまいました。でも、今回は、その緻密さに、私自身がついて行かれず、ちょっと読み飛ばしてしまったところも、ちらりほらり。
だって、ひとつひとつが、呆れるほどの細かさなんですもの、読んでても、専門的すぎて、分かりにくいし、いちいち理解しなくてもいいかなと・・・(^^;。
それでも、私なりに一生懸命読みました。でも、その割に、殺人の動機が薄すぎます。どうして、こんなに頭のいい犯人が、そんな努力と苦労をしてまで、殺人をしてしまうのか。そちらの方が、私にとって、ミステリーでしたね。
ただ、この防犯グッズ販売店店長および、○○である、榎本は、いいキャラクターでした。防犯に対するお勉強にもなりましたしね。 ただ、うちは、防犯しなくちゃならない物なんか置いてないから、どのみち関係ないんだけど・・・(^^)。 (2005.01.16)