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「カタコンベ」
神山裕右
リミットは水没するまでの5時間
洞窟に閉じこめられた調査隊が危ない!
「贖罪」の思いを胸に、単身、救助に向かった青年を襲う「殺人者」の恐怖。 (帯より)
なかなか面白かったです。
第50回江戸川乱歩賞受賞作で、著者は、史上最年少24歳3ヶ月だそうです。
舞台は、ほとんどが洞窟の中。ケイビング、ダイビングという、私の知らない世界が描かれてあり、ちょっと取っつきにくいかなと思ったのですが、とんでもない!ドキドキワクワク、とても面白く読み始めました。
自分が知らない事が書かれた本なのに、描かれた状況が、難なく頭の中で想像できたと言うことは、この作者の表現力が相当しっかりしているということなのでしょうねぇ。だからこそ、本の中に入り込めて、さくさく読み進められたのだと思います。
ただ、それも、後半になってくると、少々トーンダウンしてしまいます。一つには、いろいろなファクターを詰め込みすぎではないかと思いました。そこまで一つの洞窟内に集めなくても、メインの事柄だけで、十分面白かっただろうに・・・なんだかごちゃごちゃしすぎですねぇ。
また、ラスト近くになってくると、なにやら、私の想像力も働かなくなってきて、状況が、ちょっと見えてこなくなってしまったのも残念でした。
前半が良かっただけに、惜しかったです。話をもっとすっきりさせたら、それなりに最後まで面白かっただろうにと思いました。
ちなみに、カタコンベとは、古代ローマの地下墓地を意味しているそうです。 (2005.02.04)