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「介護入門」
モブ・ノリオ
第131回 芥川賞受賞作
俺はいつも、《オバアチャン、オバアチャン、オバアチャン》で、
この家にいても祖母に向き合う時にだけ、
かろうじてこの世に存在しているみたいだ。 (帯より)
介護のHOW TO〜ものではありません。
131回芥川受賞作品です。
芥川賞とは、短編小説に与えられる賞で、純文学的な物が多いので、私には、苦手意識があり、この本も、薄い本(105ページ)ながら、苦戦するかなと、危惧しつつ読み始めました。
まずは、文体が、なんだかすごいんです。ラップ調というらしいですが、「YO!ニガー」ですからね(^^;。それと、文章がやたらと長い(^^;。ここで終わりかと思うと、まだ続くという感じで、句読点までを一気に読まないと、何が言いたいのか分からない。一気に長い文章を息を詰めて読むその緊張感はすごいものがありました(^^;。
でも、内容は、しっかりと共感できましたねー。
この作者さんは、きっと介護経験者なんでしょうね。そうでなければ、この様な描写はできないと思います。
実は、私も身近に寝たきりさんがいるので、ほんとに、彼の気持ちが分かります。一緒に住んでいるわけではなく、手が足りないときに、手伝う程度ですが、体験者でない人には分からない細々したことがたくさん書かれていました。
介護とは、こういうものだ!心と心のぶつかり合いだ!つまり介護とは愛なんだ!って感じでしょうか。そしてまた、介護される側も、それまでの人生で人をちゃんと愛してこよう!とも言っているようでした。
それにしても、すごい組み合わせです。眉毛まで金色に染め、大麻中毒気味の自称ミュージシャンが、転倒事故以来寝たきりになってしまった祖母の介護をするんですから。そして、ともに笑い、ともに泣く彼ら。その迫力たるや、まさに壮絶です。
この彼の介護の実態が、この一風変わった文章になって、火花を散らしていると言ったら、大げさでしょうか・・・(^^)。 (2005.03.17)