「推理小説」 秦　建日子　　 ４２歳の会社員と１７歳の高校生、大手出版社の編集者・・・全く面識のない人々が相次いで惨殺された。事件をつなぐのは「アンフェアなのは、誰か」と書かれた本の栞のみ。そんな中、警察と主要出版社に『推理小説・上巻』という原稿が届く。書かれていたのは犯人しか知ることの出来ない事件の詳細と殺人の予告、そして「事件を防ぎたければ、この小説の続きを落札せよ」という前代未聞の要求・・・ミステリの既成概念を破棄し、リアリティの迷宮へと誘う超問題作！（帯より） 著者は、人気TVドラマを数多く手がけている劇作家で演出家でシナリオライターでもある秦建日子です。私は、あまりTVドラマを見ない人なのですが、それでも、題名だけは知っているドラマをたくさん作っています。（「救命病棟２４時」とか「HERO」とか）。そんな彼が初めて書いた小説の題名は、そのものズバリ「推理小説」。 読み始めがとても分かりにくくて、苦労しました。それは、著者の意図したことなのか。登場人物も多く、話もぶつ切り。 たくさんの人がそれぞれ一人称で語っているから、なおさら分かりにくいのでした。 でも、きっとそれは、読者を煙に巻くためなのだと思われます。 題名に「推理小説」を持ってくるだけでも、ずいぶん大胆ですものね〜(^^)。 結局は、それほどこねくり回した推理は必要なかったので、ちょっとそれが、物足りなかったですが、登場人物、特に、女刑事、雪平夏見のキャラが、とても強烈で、良かったです。「無駄に美しい」というのが、とても視覚的で、さすがに、ドラマを書いている人だなぁと思いました(^^)。 そのうち、彼女を主人公にしたドラマが出来るかも(^^)。(2005.05.05)