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「夏の名残りの薔薇」
恩田 陸
山奥のクラシックなホテルで、毎秋開かれる豪華なパーティ。
その年、不吉な前兆とともに、次々と変死事件が起こった。果たして犯人は・・・。
巧妙な仕掛けで読者に挑戦する渾身の一作。
この殺人事件は真実か幻か!?(帯より)
ちょっと分かりにくかったですねぇ。
物語の中で起こる殺人事件も、趣向が凝らしてあるのですが、それ以前に、途中で、挿入される「去年マリンエンバートで/不滅の女」から引用されている文章との関わりに、戸惑いました。
あと書きで、それが、著者の思い入れのある映画の本だと書いてありましたが、読んでいるときは、さっぱり訳が分からず、煩わしいだけで、少々辟易してしまいました。
本筋の、ホテルでの描写も、一癖あるもので、最初は、あれ?!と、面食らいましたが、読んでいるうちに、作者の意図が徐々に分かってきて、こちらは、その趣向が、それなりに面白かったです。
でも、読み終わってみると、ちょっと物足りない感じが残りました。
作者の意図は、よく分かり、読んでいる途中は、いいように翻弄されて、面白かったのですが、ラストの章があっけなかったですねぇ。それまでの主要人物が姿を消してしまって、物語の重さがなくなったからでしょうか。
それにしても、恩田さんは、バラエティーに富んだ作風で、いつも楽しませてくれますねぇ。(2005.07.22)