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「九月が永遠に続けば」
沼田まほかる
第5回ホラーサスペンス大賞 大賞受賞作
驚天動地の実力派新人、堂々デビュー!!(帯より)
ホラーサスペンス大賞受賞作となれば、このジャンルが大好きな私が見逃すはずもありません。
しかも、なかなか面白かったです。
内容は、「面白い」と言うには、ちょっと重たい内容も含まれるのですが、私が想像した結末とは違っていたりして、そういう意外性も、楽しめた一因です。
ただ、ホラーではありませんでしたね。でも、そのことも気にならないほど、引き込まれました。
息子が突然失踪してしまった、母親の混乱を軸に、様々な人間関係が浮き彫りにされていきます。そんな中で、人が突然いなくなってしまったときの、後に残された者の気持ちが、痛いほど、感じられました。
そして、普通に生活している人の心の中にも、他人からはうかがい知れない闇の部分があることも、痛感できました。それにしても、のほほんと生活しているように見えた、一番身近で、一番理解していると思っていた人間である息子の心の闇を知ったとき、母親は、どうしたらいいのでしょうね。
それら、重い内容の話の中で、ちょっとした息抜きになるのが、息子のガールフレンドの父親、服部のと関係です。頻繁に出てくる彼の存在は、少々鬱陶しいのですが、彼の行動が、最後まで首尾一貫して彼女を力づけているのは、うらやましいですよね。なかなかこんな人、最近では希少価値なんじゃないかしら(^^)。それに対して、彼女が彼を毛嫌いしながらも甘えすぎなのが、ちょっと気にかかりました。ラストで、ふんわりする所があるのが、救いでしたね〜〜(^^)。(2005.09.28)